7月15、16日の2日間にわたり開催された G-Summit Japan 2021 には、多くの方々にご参加頂きました。本ブログでは、いくつかの主要なセッションを取り上げてその概要・見どころを4回に分けてご紹介しています。第3弾となる本記事では、「従業員体験(EX)」をテーマにした Day 2 より、オープニングセッション、および、ユーザートークセッションの様子についてレポートいたします。当日のセッションは、オンデマンドで配信中です。見逃された方も、是非この機会にビデオをご視聴ください。

 

オープニング・セッション:共感性のある顧客体験を生み出すための従業員体験(EX)

2日目のオープニング・セッションは、1日目の振り返りから始まりました。冒頭では、ジェネシスCMO(Chief Marketing Officer)の Joyce Kim が登壇し、「これからは、CX実現のためのEXを充実させていくことが大切であり、それがジェネシスのコアコンピテンシーである。」と語りました。これを受けて、ジェネシス日本法人代表取締役社長 ポール・伊藤・リッチーは、CXを直接サポートするのは従業員であることに言及し、ジェネシスは従業員への対応方法の変更に取り組んできたことを紹介しました。新型コロナウイルスが蔓延する環境下においては、CXに求めるものが変わり、CXを提供する側の意識も変わったため、Happy Employee = Happy Customerというように、両者はイコールで繋がれなければならないということでした。加えて、ジェネシスが、さまざまな顧客、従業員にパーソナライズされた環境をつくっていく姿勢にも触れていました。

続いて、ジェネシスがグローバルに行った消費者調査の結果を紹介しました。コロナ禍において「つながり」が希薄になった人と深まった人が両極端に別れてしまったことが明らかになり、これには世代やアプリの活用状況の違い、デジタルチャネルへの急速な移行、顧客サービスへの期待の変化などが関係していることがわかりました。日本は他国と比べてもコンタクトセンターの利用頻度が高く、まさに「コンタクトセンターは企業の顔」になりつつあるのではないか、という考えが述べられました。そして、ここでも Day 1のテーマである「共感性」が求められていることが明らかになりました。消費者は問題解決の速度よりも、寄り添ってくれる対応を望んでおり、そのためには個人情報の活用も一定の範囲で認めるという結果が出ています。そしてこれは、サービスを提供する側の満足度を上げることで、サービスの品質を上げることができるという EX の考え方に繋がります。

その後、ジェネシスCSO(Chief Strategy Officer)のピーター・グラフが、昨日のテーマでもあったExperience as a Service(EaaS)について再度解説しました。EaaSとは、共感にフォーカスしてエクスペリエンスに新しい要素を加えることであり、AIを駆使することで共感力を高め、パーソナライズされたエクスペリエンスを社内の全部門が協力して提供していくことです。これまでエージェントの個人的資質に頼っていた接客を、AIによって平準化・高度化して顧客ロイヤリティを高めると共に、さまざまなパートナーと協業することでこれを実現します。そして、クラウドの本質として、これらのパートナーから提供されるサービスをジェネシスが相互に接続し、お客様はワンクリックでそれらの機能を連携させて利用できることを挙げました。

最後にリッチーより、日本でもジェネシスは数年前からクラウドに注力しており、既成概念からの脱却を目指し、エクスペリエンスを提供する会社へ変化しようとしていることが強調されました。その中で、在宅勤務や、従業員向けの機能を引き続き提供していくことで、Happy Employee=Happy Customerを目指していくということです。

 

ユーザートークセッション:現場視点で考えるこれからのコンタクトセンターの姿

2日目のユーザートークセッションは、東京、大阪、沖縄とを繋ぎ、株式会社外為どっとコムの中根氏、コクヨ株式会社横田氏、UTグループ株式会社田口氏にご参加頂きました。

外為どっとコムは沖縄にコンタクトセンターを置いており、中根氏はそこからの登壇でした。外為どっとコムのコンタクトセンターは、FX取引に関する問い合わせを受けています。コロナ発生直後は一時的に呼量が増えたものの、すぐに収束したそうです。同社の場合、これまでは為替の相場の変動が呼量の増減に大きく影響していましたが、最近ではWeb上の情報を充実させたことで、お客様はまずそちらを参考にする傾向にあるとのことです。そのため、コンタクトセンターのメンバーは電話やメールの対応だけではなく、仕事がマンネリ化しないよう、さまざまな業務に新たにチャレンジしています。例えば今年に入ってからFAQの追加や更新を始めたり、Zoomを使ったオンラインセミナーの開催も行っています。お客様と日々接しているサポートセンターのメンバーが行うことで、わかりやすいセミナーが実現できているということでした。

大阪から参加した、コクヨ株式会社の横田氏は、企画開発部門からお客様相談室に異動しました。開発部門にいた頃は、コンタクトセンターから上がってくる「理由や背景の見えない」VOC(Voice of Customer)に不満を感じていたそうです。センターに異動した際には、それまでの経験を活かしてVOCを社内に的確に伝達するためにさまざまな工夫を始めました。

たとえば、「テープのりと修正テープの形状が似ており、間違って買ってしまった」というお客様の声を社内で紹介したときには、テープのりと修正テープのシルエットを並べて判別できるかどうかのクイズを行ったそうです。横田氏は「多くの製品担当関連者が当てられませんでした。」と笑いますが、こうした取り組みを通じ「お客様の立場で製品を企画する」ということを訴えています。
横田氏は、会社に動いてもらうためには、VOCを伝える側が「メディア」にならなければ駄目だと指摘し、「メディアは面白く無ければ読んでもらえません。興味を持って頂くための工夫を続けて行きます。」と述べました。

UTグループは製造業向けの派遣事業を行っている会社で、コンタクトセンターの役割は応募者との面接設定や連絡がメインになります。コロナによって工場の稼働が減り、業務が減ったためにいったん縮小したものの、製造業の立ち直りが予想以上に速く、エージェントの採用が間に合わないという状況に陥ったそうです。UTグループのコンタクトセンターは現在100%の在宅勤務が率となっており、エージェントの皆さんからの評判も上々ということです。リモートの方が効率が上がるという声も多い様です。田口氏のお話の中で特に印象に残ったのが、エージェントの採用に関する変化です。これまではエージェントの採用に苦労することも多かったのですが、在宅化によって全国を採用対象とできるようになり、採用難が一気に解消したと言うことです。

Day 1 では CX をメインテーマとしたセッションが行われましたが、その「共感性」のある満足度の高い CX を提供するために欠かせない「従業員体験」を充実させるためのセッションを Day 2 ではお届けしました。次回では、「従業員体験」を最大化するGenesysのソリューションセッションの様子をお届けします。

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