コールセンターの管理者やスーパーバイザーがオペレーターを指導する際に、改良を重ねたトークスクリプトを使って研修を繰り返しても、思うように応対品質が上がらずに苦労されることが多いかと思います。

今回は、どのようにすればオペレーターの応対品質を管理・向上させることができるか、そのポイントについて解説いたします。

 

トークスクリプトと切り返しトーク集、FAQだけでは応対品質は上がらない

応対品質を向上させるのには練りに練られたトークスクリプトやFAQが効果的であることは間違いありません。ただ、これらは「オペレーターが発する言葉やトーク内容をブラッシュアップするもの」であり、お客様がおっしゃっている内容を踏まえオペレーターがどのように応対しているのかについて管理者やスーパーバイザーが理解したり、アドバイスをしたりすることはできません。

 

でも、CTIの機能を使い、お客様とオペレーターの通話内容をモニタリングすることができれば、実際にお客様がおっしゃった内容・言葉やニュアンス、またそれに対してオペレーターがどのように応対しているのかをリアルタイムに把握することができるため、お客様との通話中であってもアドバイスをすることが可能となるのです。

 

 

リアルタイムの通話内容を基にその場でアドバイスを実施する

管理者がCTIを使ってお客様との通話内容をリアルタイムでモニタリングしてアドバイスをすることで、オペレーターはお客様との通話中にトーク内容を修正することができるため、FAQを見て覚えた教科書通りの返答をしないで済むようになります。

 

これにより、お客様との応対品質を管理できるようになるのはもちろんのこと、「うちの管理者はお客様からのご要望やクレームを受けて半ばパニックになっているようなオペレーターに対して適切な指導をしてくれる」「クロージング直前のお客様への最後のプッシュトークを教えてくれ、ご注文をいただくことができた。うれしい」など、オペレーターのES(従業員満足度)も向上させることができるようになります。

 

 

通話中のウィスパリングによるアドバイスは諸刃の剣

ただ、一般的なコールセンターでは、オペレーターが対応しきれないような場面ではいったん通話を保留して上級オペレーターやスーパーバイザーに相談をしたりエスカレーションを行ったりすることが多いでしょうが、「激怒してクレーム電話をかけてこられているお客様」などは矢継ぎ早に話をされるため、なかなか保留をすることもままならないはずです。

そのような場面では、スーパーバイザーからのアドバイス内容がオペレーターにしか聞こえない「ウィスパリング機能」を使い、通話を保留せずにリアルタイムアドバイスをしているコールセンターもあることでしょう。

 

でも、このウィスパリングは、「お客様がおっしゃっていることをお聞きしながら、さらにスーパーバイザーの言うことも聞いて理解する」という同時通訳者のような能力がオペレーターに求められます。ただでさえお客様のクレームで焦っている場合などは、ウィスパリングの内容を聞こうと意識を集中するがあまり、お客様のクレーム内容を聞き漏らしたり生返事をしてしまったりすることで、さらにクレームが拡大してしまうことも多いのです。

 

 

通話中のアドバイスはウィスパリングではなくチャットがおすすめ

そこでおすすめなのが、チャットによるリアルタイムアドバイスです。人間の脳は耳から入る情報と目から入る情報を分けて処理する能力に長けているため、耳ではお客様との通話内容を、目ではスーパーバイザーからのアドバイスや指示を見て判断する、ということを同時並行しやすいと言えます。

 

リアルタイムモニタリングをしている際にスーパーバイザーがアドバイスや指示を出したい場合には、オペレーターが見ているモニター画面にチャットをポップアップさせて、指示をすれば良いでしょう。

 

例えば、「買った掃除機が届いたけど、故障していてまったく使えない」というクレーム電話が入っている場合には、「故障ということですが、どのような症状でしょうか?」というトークスクリプト通りの質問をするだけでなく、『通電ランプはついているが、スイッチをオンにしても作動しないなど、具体的な状況をお教えいただけますか?と聞いてみて!』などのように、具体的にお客様に聞くべき(言うべき)内容をチャットでポップアップさせることで、オペレーターは落ち着いてお客様に応対することができるのです。

経験豊かな管理者やスーパーバイザーからリアルタイムでアドバイスをもらえることで、オペレーターのクレーム処理能力やクロージング能力は格段と上がるはずです。

更なる成果創出を狙うコールセンターは、教科書通りのトークスクリプトやFAQを用意しておくだけでなく、リアルタイムモニタリングとチャットによる品質管理を導入されることをおすすめします。