コールセンターの運営において、オペレーターのシフト組みは非常に難しいと言えます。今日はお客様からの受電が多いだろうと予想してシフトを厚めに組んでいたらほとんど電話が鳴らなかったとか、営業がキャンペーン実施の連絡をコールセンターにしていなくて、少ないオペレーター数で必死に応対したなどの経験をお持ちの方も多いと思います。

 

オペレーターの数に余裕を持ってシフトを組めば生産性が悪化しますし、とは言え少ない人数しかシフトインさせていない場合には、お客様をお待たせすることになってしまいます。

コールセンターにおいてお客様をお待たせしないということは、ご注文数増やクレーム減などの「成果」に非常に密接に関わってきます。ではいったいどのようにすれば通話前・通話中にお客様をお待たせしないで応答率を改善することができるのでしょうか?

 

適正な人員配置のためにはキャンペーンの詳細把握をしよう


マーケティング部や営業部とコールセンターの連携がしっかりと取れていない企業では、「キャンペーンの実施日やその内容」についてコールセンター側が把握しないままキャンペーン当日を迎えてしまうことがよくあります。

キャンペーン当日や前日に急にその内容を知らされても、オペレーターに内容を理解させ、トークに反映することは間に合いません。また、増える受電数に応対できるオペレーター数もそう簡単には確保できないはずです。

お客様をお待たせしないための工夫その1は、「キャンペーン内容を事前・詳細に把握できるようにマーケティング部や営業部と情報交換する場面を頻度高く設定しておく」ことです。

どの媒体、どのエリアにいくらくらいの費用をかけてキャンペーンを実施するのか、という情報を事前に得ておけば、その反応率をシミュレーションすることで、投下すべきオペレーターの人数を検討したり、トークスクリプトを改良したりすることができるはずです。

できればキャンペーン内容の共有は口頭ではなく、「実施日の14日前までに、メール添付でこのフォーマットに則ってキャンペーンの企画内容をAさんとBさんに送信する」などのルールを決めておかれることをおすすめします。

 

ACDを使って最適なオペレーターに着信を振り分けよう

 

お客様をお待たせしないための工夫その2は、ACDの活用です。ACD(Automatic Call Distribution)とは、お客様からかかってくるお電話を最適なオペレーターに自動で振り分けてくれるシステムです。

このACDを導入すれば、受電のタイミングで通話が可能なオペレーターに自動的につなぐだけでなく、お客様の電話番号や着信番号、オペレーターのスキルに応じて「誰に応対させるのが妥当か」を自動的に判断して振り分けてくれるため、生産性が非常に高まります。

例えば、前回の受電応対完了後、ベテランはその通話内容の処理を3分で終えられるが、新人は5分程度かかるとします。ACDを導入すれば、ベテランと新人の業務処理能力や待機時間に合わせて受電振り分け頻度を調整することなどができるのです。

また、全てのオペレーターが受電応対不可の状況の場合には、待ち時間ガイダンスを流したり、キャンペーンの概要を自動音声により流したりすることで、お客様の「待たされている感」やそれに伴う機会損失軽減することが期待できます。これも間接的に応答率の改善につながります。

 

通話中はお客様情報の聴き取りに時間をかけないようにする

 

お客様をお待たせしないための工夫その3は、通話中にお客様情報をお聞きする時間を極力短くする、という点です。

過去にお客様情報をお聞きしたことがあるお客様から着信があった場合は、オペレーターが通話を始める段階でその顧客情報が画面にポップアップしてくる機能などを使えば、再度ヒアリングをする必要はありません。発信者番号などからお客様情報が自動的に検索されるようなシステムを使ってみましょう。

また法人からの受電の場合には、お客様企業名の一部を入力すれば、国税庁が発行している13ケタの法人番号に紐づく正式企業名候補一覧が表示されるサービスなどもあります。このサービスを使うことで、正式なお客様企業名を瞬時に把握することが可能となるのです。

 

通話内容を自動テキスト化すれば通話終了後の処理時間を短くできる


お客様をお待たせしないための工夫その4は、通話内容の自動テキスト化です。通話終了後にお客様がおっしゃったことをオペレーターにパソコン入力させているコールセンターの場合は、「通話内容がリアルタイムでテキスト化される」サービスを使うことで、通話終了後に改めて打ち直す必要がなくなります。それにより処理時間短縮につながり、取れる電話の数が増え、結果的に応答率の改善につながるのです。

オペレーターが実際にお客様応対をしている時間の短縮だけでなく、通話終了後の処理の時間も短くすることで、「お客様をお待たせしない」運営ができるようになります。