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今年で 5 年目となる CX 戦略イベント「G-Summit Japan」は、今回から「Xperience Japan」に名前を変え、2024 年 7 月 17 日に開催されました。リアルとオンラインのハイブリッドで合わせて 1,000 人以上の方が参加。昨年ご好評を頂いた参加型のラウンドテーブル・ディスカッションの規模をさらに拡大し、会場ではお客様同士の情報交換も活発に行われました。各セッションのアーカイブ動画がオンデマンド配信されていますので、参加されなかった方もぜひこの機会にご視聴ください。本ブログでは、オープニングセッションの概要と見どころを、前編・後編の 2 回に分けてご紹介します。
Xperience Japan 2024 のオープニングセッションは、昨年同様 ジェネシスクラウドサービス株式会社・代表取締役社長 ポール・伊藤・リッチーと、リンクタイズ株式会社執行役員兼 Forbes JAPAN Web 編集長 谷本 有香氏の挨拶から始まり、以下について語られました。
谷本:さあ、いよいよ始まりました Xperience JAPAN 2024 。まずはポールさん、Genesys の昨年以降の動向を教えてください。
リッチー:Genesys は 2023 年に 23 億ドルの収益を上げ、そのうちの 65% が Genesys Cloud と完全に主力製品となりました。今も 1 日 2 社のペースで利用企業が増えています。そして今年 2 月、ジェネシスは Radarr(レイダー)という会社を買収しました。
Radarr はいわゆるソーシャルリスニングツールで、Genesys の機能の中で足りていなかった部分を補完します。カスタマージャーニーの 1 番最初である企業の口コミを常にリスニングすることによって、顧客のロイヤルティや企業価値を上げることができます。( Radarr については、本ブログの後編で詳しくご説明します)
さらに、CRM ベンダー様とのグローバルなパートナーシップも拡大しています。今回 Xperience にもご参加頂いている Salesforce 様と昨年提携を発表し、今年 5 月には ServiceNow 様とも戦略的パートナーシップを発表いたしました。自社でできることに加え、パートナーの皆様との循環型の協業によって、よりよいカスタマーエクスペリエンスを目指します。
谷本:日本の国内についてはいかがでしょうか?
リッチー:Genesys では数年前から、Genesys Cloud をどんどん進化させるとお約束をしています。まず1つは、昨年の G-Summit で発表した AWS の大阪リージョンを、12 月に稼働開始しました。一か国で 2 つの AWS リージョンが稼働しているのはアメリカに続いて日本が 2 カ国目となり、大規模なお客様からの要望も多い BCP 対策ができるようになりました。
さらに、現在 ISMAP(政府情報システムのためのセキュリティ評価制度)の取得へ向けて準備中です。クラウドのコンタクトセンターを提供している会社がISMAP 取得を目指すという動きは、おそらく初めてなのではないでしょうか。ISMAP は政府機関が今後クラウドを使っていく上で必須になるでしょう。
最後に、スタッフの強化です。前年比 130% で増え続ける国内のユーザー企業様を支えていくための体制を作らなければいけません。主にお客様に伴走するカスタマーサクセスや、マネージャーなどのポストセールス部隊を中心に、人員を 20% 増員しました。
谷本:今年のテーマは「2030年に向けた CX 戦略ロードマップ」ということですが、これにはどういう意味合いが込められているのですか?
リッチー:Genesys では、Genesys Cloud をリリースしたときから、エクスペリエンス・オーケストレーションということを訴え続けてきました。今回、このオーケストレーションにレベル0から5までの6段階を設定しています。
2030 年というと、「遠いようで意外に近い未来」という感覚なのですが、2030 年までに皆様にレベル 5 を目指していただきたいという意図で、このテーマにしました。
同時に、このテーマと一緒に考えたいキーワードとして「レベルアップ!」があります。Genesys Cloud 利用企業の皆様自身が今どのレベルにあるのかを理解し、次に何を目指せば良いのかを具体的に考えていただきたいという思いです。
谷本:レベルとは、どのようなものですか?
リッチー:具体的にはこのようなイメージです。
レベル 0:人間のエージェントやオペレーターがすべてのコミュニケーションを処理する、本当に初歩的な状態です。利用企業様でこのレベルはもうないと思いますが、ここがスタートラインです。
レベル 1:IVR やシンプルな自動化メニューを使い、その後のコミュニケーションはすべて人間のオペレーターに転送する、メニューに基づくナビゲーション対応です。少し自動化は入っているけれども、随分昔のイメージのやり方だよね、というレベルです。
レベル 2:簡単な業務をボットに任せるレベルで、事前に定義した会話を使って自動対応し、できないものは最終的にオペレーターに繋ぎます。
レベル 3:AI を活用したシステムが会話を生成し、オペレーターと AI が交じり合いながらサポートを行います。さらに、多少なりともボットがお客様への共感性を捉えることができている段階です。
レベル 4:実際の対話の中で、ボットテクノロジーが共感性だけではなく感情的なところも理解できるようになり、その感情を踏まえたかたちでオペレーターに適切なサポートを提供します。かなり未来感が出てきましたが、日本では今、このレベル 4 を皆さんが目指しているところかと思います。
レベル5:最終段階になると、ボットが共感性と感情を持ち、お客様のニーズに対して単体で動ける時代になるのではないかと考えています。仮想エージェントとして、1 人 1 人の消費者に対する個別のコンシェルジュのように人の代わりにいろいろなことをしてくれるでしょう。
谷本:これを 2030 年までに目指すというのは、すごい未来になりそうですね。
リッチー:恐らく今の日本ではレベル 2 ~ 3 といったお客様がほとんどなのではないかと思いますが、レベルが上がるにつれ、その成長スピードは非常に加速しています。レベル 0 から 1 への移行には 50 年くらいかかったと思いますが、1 から 2 は 20 年くらい、2 から 3 が 10 年くらいだとすれば、2030 年にレベル 5 に到達することはあり得ない話ではないと思っています。
谷本:これだけの変化が起きるということは、これまでの常識が一切通じなくなくなりますね。
リッチー:面白いデータがあるのでご紹介したいと思います。Genesys では、日本の IT または CX に携わる方々 300 人を対象に、従来の AI と今後の生成 AI に対する期待についてアンケートを行いました。
その結果、従来の AI に関しては「スピード感」「常に( 24 時間 365 日)対応できる」というところ、つまり効率化に対する期待感が大きくありました。同時に生成 AI に対する期待に関しては「カスタマーを理解して欲しい」とか、先ほどのレベルアップの話でも出てきた「自動化」という点が出てきています。皆様にとっても違和感のない結果かもしれませんが、回答比率を見ると一気にそっちの方向に向かおうとしているのが明らかになったと感じます。
谷本:このアンケート結果からわかるのは、今までの AI はいわゆるデジタライゼーションや自動化というところに目が向かっていたのが、生成 AI が出てきたことによって本当の意味でのデジタルトランスフォーメーションを意識するようになってきたということですね。
CX の進化を支えていくためには生成 AI が不可欠になってくると思いますが、今後の AI の展望はどうでしょうか?
リッチー:本社から開発に近いメンバーが来ておりますので、AI 活用のロードマップをご紹介させていただきます。
「オープニングセッションのまとめ後編 」のブログでは、Genesys 米国本社のプロダクトマーケティング担当執行役員 Elcenora Martinez によるプレゼンテーションと、未来のユースケース動画とその技術解説についてレポートします。
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