カスタマーエクスペリエンス(CX)は「顧客体験」を意味します。顧客が商品・サービスと出会い、購入、継続利用するまで、すべての体験価値が含まれており、す。マーケティングや経営戦略において用いられる概念です。本記事ではCXについて、その重要性やメリットなどを具体的な事例を取り上げながら解説します。

目次

  1. カスタマーエクスペリエンス(CX)とはある課題
  2. カスタマーエクスペリエンス(CX)の重要性
  3. カスタマーエクスペリエンス(CX)向上がもたらすメリット
  4. カスタマーエクスペリエンス(CX)向上の成功事例
  5. カスタマーエクスペリエンス(CX)向上を計測する指標「NPS」とは?
  6. CX 向上のための CX 戦略の立て方
  7. カスタマーエクスペリエンス(CX)と混同しやすいビジネス用語
  8. カスタマーエクスペリエンス(CX)を向上させて、企業に変革を

 

カスタマーエクスペリエンス(CX)とは

カスタマーエクスペリエンス(Customer Experience)は「顧客体験」を意味し、「CX」とも呼ばれます。商品・サービスの認知から検討、購入、さらには継続利用までを含めたあらゆる過程において体験価値の向上を重視する、主にマーケティングや経営戦略で用いられる用語です。

Cx (customer experience)

顧客体験の価値を高めることを「CX 向上」、そのためのマーケティング戦略を「CX 戦略」と呼びます。なお、インターネットを通じた顧客の体験を「デジタルカスタマーエクスペリエンス(DCX)」と言い、近年は重要性が高まってきました。CX のメリットにはブランドイメージの向上や競合他社との差別化、顧客自身による口コミ等での宣伝などが挙げられます。

 

▼関連記事

「デジタルファーストな、カスタマーエクスペリエンス (CX) へ移行する際の 3 つの課題」
https://www.genesys.com/ja-jp/blog/post/3-challenges-in-creating-a-digital-first-customer-experience

 

■カスタマーエクスペリエンス(CX)の重要性

顧客は商品・サービスの品質等だけでなく、検討から購入、利用、さらにはサポートを含めた一連の体験に対しても満足感や価値を見出しています。中には商品・サービスのカスタマイズを求めたり、企業側とのコミュニケーションを望んだりする人も少なくありません。こうした顧客ニーズの多様化に対応するうえで、CX はとても重要な視点です。

また、昨今は SNS をはじめ、顧客が自身の体験についてインターネットで発信する機会が増えました。CX を意識した施策を講じることで顧客により高い評価が拡散してもらえれば、ブランディングや新規顧客の獲得に繋がる可能性があるでしょう。

サブスクリプションサービスなどでは、顧客との関係が長期的に継続します。この関係性が悪化すれば、サービスの利用が止まってしまうかもしれません。良好な関係を持ち続けるためにも、CXの向上は企業にとって重要な意味を持つでしょう。

 

▼「カスタマーエクスペリエンス (CX) の現状」
https://www.genesys.com/ja-jp/resources/state-of-cx-report

 

■カスタマーエクスペリエンス(CX)向上がもたらすメリット

CX を向上させることで、以下のようなメリットが得られます。

  1. 顧客離れの防止
  2. リピーターの獲得
  3. 口コミや SNS での認知度向上
  4. ブランディング

それぞれ、具体的にご説明します。

1. 顧客離れの防止

商品・サービスの質が下がったり、ユーザーの満足度が低下したりすれば、顧客離れに繋がります。CX を向上させることで、こうした顧客離れを防止することが可能です。

2. リピーターの獲得

CX 向上によって顧客満足度が高まれば、ロイヤルカスタマーが育成できます。その結果、長期的に顧客との良好な関係を維持できるようになり、リピート購入の獲得に繋がるでしょう。

3. 口コミや SNS での認知度向上

顧客が商品・サービスや企業側の対応に満足し、「他の人にも教えてあげたい」「誰かと共有したい」と感じてもらえれば、口コミや SNS で発信してくれるようになります。ポジティブな投稿が拡散されることで、潜在顧客への認知拡大が期待できます。

4. ブランディング

CX 向上によってファンが増えれば、ブランドの信頼性が高まります。そうすれば既存顧客のみならず、新規顧客も「このブランドは安心できそうだ」と感じてくれるでしょう。他社と比較検討する際にも、ブランドへの信頼性は重要な差別化のポイントとなります。

 

■カスタマーエクスペリエンス(CX)向上の成功事例

CX 向上で大きな成果を得た、6 社の成功事例をご紹介します。

・スターバックス

スターバックスは、従業員が顧客に対して適切に接客できるよう取り組んでいます。また、スターバックスでしか購入できない商品を提供しており、これは顧客にとって特別感のある体験です。このほか、店舗ごとに異なるデザインのため、違う店舗を訪れるたびに新しい体験を得られます。こうした CX 向上への取り組みで多くのファンやリピーターを獲得し、成長を遂げてきました。

・Amazon

Amazon はレビューや評価などの機能によって、顧客の商品選びをサポートしています。また、購入後も素早い配送を行っているなどサービスの質を高めることで、顧客から高い満足度を得ています。こうした取り組みから、2020 年の「アメリカン・カスタマー・サティスファクション・インデックス(ACSI)」において、Amazon は小売業界でもっとも顧客満足度スコアを獲得しました。

・ANA

ANA は社内に CX 推進室を設けて、CX 向上に取り組でいます。その具体的な施策として挙げられるのが、「ストリーミングエンジン」です。これは顧客それぞれの行動変化(予約、決済、チェックイン、搭乗、キャンセル等)、そして旅客機の離着陸や搭乗ゲートの変更をはじめとした運行状態の変化とをデータで検知するもの。そのデータから顧客毎にパーソナライズされた情報を提供し、最適な接客へと繋げられるシステムです。その結果、例えば搭乗ゲートの遠い顧客に対して事前連絡を行い、早めに移動してくれるよう促すことで離陸の遅れを防ぐといったことを実現しています。

富士通

富士通はカスタマーサービスに生成 AI を活用することで、CX 向上に取り組んでいます。具体的には、顧客からオンラインチャットで届いた問い合せに対し、AI が推奨される返信文を自動作成。また、オペレーターと顧客との会話内容について、AI が要約文を作成するといった内容です。その結果、オペレーターによる平均処理時間が大幅に短縮されたほか、対応内容の要約に要していた時間も削減できました。適切な回答を素早く返信できるため顧客満足度が高まり、要約文を活用することでオペレーターの対応品質も向上しています。

・日産

日産は、チャットボットによるオンライン接客を導入しました。従来は電話でオペレーターと話す、あるいは店舗に出向く必要がありましたが、対面と非対面の両方で接客できる体制を構築しています。オンラインと対面とを組み合わせることで問い合わせ内容や顧客の心情等に配慮した接客が行えるようになり、顧客のストレス軽減、そして満足度の向上が実現しました。

・ブラザー販売

コールセンター業務で時期による繁閑差があり、無駄なコストが発生していました。そこで、Genesys Cloud を導入した結果、ランニングコストの削減に成功。その分をコミュニケーターの育成強化など、サービスの品質向上に繋がる投資へ転換しました。また、折り返し電話の予約サービスなどを取り入れることでも、作業効率を高めつつサービスの品質向上に繋げています。タイミングを問わず質の高い応対が行えるため、CX 向上を実現させた事例です。

このほかにも、CX  向上で大きな成果を達成させた企業は数多く存在します。最先端企業5社の事例資料をご用意しておりますので、CX イノベーションの成功に向けて是非ご覧ください。

 

▼「CX イノベーションにおける最先端企業  5 社」
https://www.genesys.com/ja-jp/resources/five-trendsetters-in-cx-innovation

 

■カスタマーエクスペリエンス(CX)向上を計測する指標「NPS」とは?

CX の向上を計測するために役立つ指標として、「NPS(ネットプロモータースコア)」が挙げられます。これは、商品・サービスに対する満足度だけでなく、顧客が友人や知人をはじめとした周囲に、それを勧めたいかどうかを計測するというものです。具体的には、オンラインあるいはオフラインのアンケートを実施し、推奨度からスコアを導き出します。
このほか、KPI も業績の評価・管理を定量的に評価する指標として、CX 向上に役立つでしょう。実際にどうやって CX 戦略を立てれば良いのかは、次の項目で解説します。

 

▼関連記事 :「コールセンターに欠かせない重要指標や KPI 管理のコツを徹底解説」
https://www.genesys.com/ja-jp/blog/post/important-kpi-for-call-center

 

■ CX 向上のための CX 戦略の立て方

CX 向上に向けた CX 戦略は、以下のような流れで立てていきます。

Cx向上のためのcx戦略の立て方

1. 現状把握と顧客分析

顧客からの評価を分析し、現状を把握します。顧客の行動や心理状態などのデータを収集し、ペルソナやカスタマージャーニーマップを作成してください。これをもとに、解決すべき課題について検討します。

2. 戦略・KPI の策定

課題が明確になったら KPI を設定し、KPI 達成に向けた CX 戦略を策定しましょう。このとき重要なのは、顧客ごとに異なる視点から適切なアプローチを検討することです。顧客をセグメンテーションした上で、具体的な戦略を策定してください。

3. PDCA サイクルによる定期的な改善

施策を実行した後は、効果検証を行いましょう。KPI をもとに、十分な成果が得られているかを確認します。PDCA サイクルにより、定期的に改善を加えながら施策を進めることが重要です。たとえ現時点で成果が出ているとしても、顧客ニーズは時間の流れと共に変化します。

Genesys Cloud CX は、AI によって顧客ニーズに合わせた CX を構築します。カスタマーエンゲージメント、従業員エンゲージメント、ジャーニー管理機能を 1 つのプラットフォームで統合し、顧客および従業員のプロセスを効率化、インテリジェント化することが可能です。これにより、顧客体験の価値向上を実現します。

 

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■カスタマーエクスペリエンス(CX)と混同しやすいビジネス用語

CX と混同しやすい用語を集めました。意味や概念の違いについてご確認ください。

・CX と CS(カスタマーサティスファクション)の違い

CX が感情的あるいは心理的な体験への価値を評価するのに対し、CS は商品・サービスに対する満足度を評価します。

・CX と CE(カスタマーエンゲージメント)の違い

CS が顧客視点での体験であるのに対し、CE は企業と顧客とが良好な関係性を構築・維持するための活動を示します。

・CXとDX(デジタルトランスフォーメーション)の違い

DX はデジタル技術による新しいビジネス創出、あるいは業務プロセスの改善等であり、CX 向上のための手段の一つです。

CXとEX(エンプロイーエクスペリエンス)の違い

CXは顧客の体験であり、EXは企業側である従業員の体験です。EX を向上させることで CX 向上のチャンスが生まれ、CX が向上することで顧客からの高い評価から EX が高まるなど、CX と EX とはお互いに作用する関係にあります。

・CXとUX(ユーザーエクスペリエンス)の違い

CX は商品・サービスの検討から購入、さらには購入後に至るまですべての過程を対象としているのに対し、UX は実際に購入した顧客がその利用によって得た体験が対象です。

・CX と CRM(カスタマーリレイションシップマネジメント)の違い

CX は顧客が企業あるいはブランドとの接点から得ている体験を対象とするのに対し、CRM は企業と顧客との関係性を対象とします。CRM は継続的に良好な関係を構築・維持することにより、売上や利益拡大等を目指します。

・C Xとカスタマーサクセスの違い

カスタマーサクセスとは、商品・サービスを購入した顧客に対し、より良い状態へと導くためにフォローすることです。最終的には顧客生涯価値(LTV)の向上を目指しますが、CX は顧客満足度の向上が目的である点に違いがあります。

・CX とカスタマージャーニーの違い

カスタマージャーニーは商品・サービスの購入までを旅として考え、その購買行動を全体的に把握するために用いられます。CX は感情的・心理的な体験を対象としているため、これをさらに広い視点で見るものがカスタマージャーニーと言えるでしょう。

■カスタマーエクスペリエンス(CX)を向上させて、企業に変革を

カスタマーエクスペリエンス(CX)の向上は、企業に大きな利益をもたらします。顧客体験において重要要素である、顧客とのコミュニケーションでは、コンタクトセンターの充実は欠かせません。Genesys Cloud CX は、AI を活用したコンタクトセンター向けの総合ソリューションです。顧客と従業員の体験を変革する「Genesys Cloud CX」の導入で、顧客体験を最適化してみませんか?

 

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