2020年、世界は困難な課題に直面しました。多くのコールセンターがオペレーターを支援するためのテクノロジーを導入しましたが、それは変化への適応にとどまらないものでした。課題に正面から取り組み、業務改革を進めた結果、電話やチャット、メール、SNSなどのチャネルを通じて、顧客が求めるサービスを期待通りに提供できるようになりました。

ジェネシスは2021年を見据え、引き続きカスタマーエクスペリエンスの向上とカスタマージャーニーの強化に注力していきます。ここでは、2021年予想されるコールセンターの傾向をご紹介します。

1.クラウド

新型コロナウイルスの感染拡大、それに伴う外出制限により、クラウドを活用する企業が大幅に増加しました。ビジネスを通常どおりに継続するため、企業はオペレーターを在宅勤務に切り替え、コールセンターをクラウドへ移行しました。

2021年も、こうしたイノベーションが続くと予想されます。クラウド・コールセンターに移行した企業は、多くのメリットを実感したはずです。ビジネスの俊敏性や継続性の向上、セキュリティー強化、生産性向上、オペレーター業務の改善などはその代表的な例です。

2.マルチクラウド

クラウド・コールセンターへ移行することで、顧客サービスに制約が課せられては意味がありません。ビジネスの規模や構造にかかわらず、クラウドの柔軟性、拡張性、相互運用性を自由に活用できるようにすべきです。

2021年は、多くの企業が、汎用性の低いシステムや特定のベンダー専用のシステム、フォークリフトアップグレードに別れを告げることになるでしょう。代わって歓迎されるのは、ビジネスに最適な機能を購入・実装することが可能なカスタマイズ機能です。

3.ワークフォースエンゲージメント

優秀なコールセンターマネージャーは、カスタマーエクスペリエンスを向上させるためにもっとも大切なのは、オペレーターであることを理解しています。オペレーターの権限を強化し、チャネルやタッチポイント全体でカスタマージャーニーを管理できるようにすることで、従業員エンゲージメントや業務に対する満足度を改善できます。

コールセンターでは今後も、人工知能(AI)が定型業務を処理するようになっていくでしょう。オペレーターの業務負荷が軽減し、顧客一人ひとりに最適化した対応に集中できるようになります。

4.カスタマーエクスペリエンスのパーソナライズ

コロナ禍がもたらした教訓があるとすれば、それは、お客様を真に理解することの重要性です。医療や金融などの分野では、お客様は一人ひとりに応じたサポートを求めています。

そのためには、オペレーターが適切な情報をすぐに入手できる環境が必要です。2021年もデータに基づくサービスの需要が高まるでしょう。顧客一人ひとりを理解し、顧客が求めるサービスをタイムリーに提供することがより重視されるはずです。

5.デジタル

SMS、チャット、メール、AI、メッセージングなどのオムニチャネル機能は、もはや基盤テクノロジーを超える重要性があります。大切なことは、こうしたテクノロジーを活用し、顧客を中心に考えながら収益を向上させることです。2021年は、AI駆動のチャットボットやデジタルアシスタントなどのツールを導入し、コールセンターの変革やカスタマーエクスペリエンスのパーソナライゼーションに取り組む企業が増えるでしょう。

6.共感

カスタマーエクスペリエンスを向上させるためには、顧客が何を求めているかを理解する必要があります。具体的には、オペレーターが顧客に共感を持って接することができるようにすべきです。そのためには、カスタマージャーニー全体の背景情報や分析情報を提供するテクノロジーが欠かせません。心のこもった顧客サービスを実現するためには、イノベーションと相互支援に強い技術パートナーの力を借りることも検討すべきです。

7.Experience as a Service

優れたカスタマーエクスペリエンスの実現には、カスタマージャーニーの管理は必須です。データを活用することで、顧客を知り、理解することができます。AIツールのリアルタイム分析機能を利用すれば、顧客一人ひとりに応じたサポートを適切なタイミングで提供することができます。エンゲージメントツールを使用することにより、顧客セグメントと対応計画を定義し、最適化することも可能です。2021年、多くのコールセンターがこれらの機能を導入し、Experience as a ServiceSMビジョンの実現に取り組むことでしょう。

2021年のカスタマーエクスペリエンス向上については、「Genesys Research for Empathy and Personalization(共感とパーソナライゼーションに関するジェネシスの調査)」をご覧ください。