企業に問い合わせをする際、顧客は迅速な解決や回答を期待しています。終わりや解決策を見通せずに、チャネルからチャネル、オペレーターからオペレーターへとたらい回しにされることは想定していません。AI 主導の自動着信呼分配装置(ACD)を使用することにより、そうしたたらい回しや待ち呼・あふれ呼(まちこ・あふれこ:オペレータが対応できず電話が保留になっている状態)特定の顧客とのインタラクションに最適なルーティング方法を使用して、いつでも、どのチャネルからでも顧客に対応できます。

ACD コールセンター・ソフトウェアの進化、その働き、顧客、カスタマーサービス・オペレーター、ビジネス成果の観点から期待できる主な利点について説明します。

目次

ACDとは ACDのテクノロジー進化

ACD は、着信呼を管理し、適切なコールセンター・オペレーターに分配するルーティング・システムです。着信呼を、その目的、その対応に必要なスキル、オペレーターへの分配など、特定の基準に基づいてルーティングできます。
最も基本的な用途として、ACD は空き状況に基づいて顧客をオペレーターに振り分けて、効率を高め、顧客の待ち時間を短縮します。従来のこのファースト・イン・ファースト・アウト(FIFO)手法は、複雑さの度合いが低く、用途が幅広いため、多くの中小企業に適しています。しかし、ビジネスや顧客の期待が変化するにつれて、ACD ルーティングは進化を遂げました。
顧客とビジネスの今日のニーズを満たすために、現代のコールセンターにおける ACD ルーティングは、人工知能(AI)やクラウドなどの高度なテクノロジーを活用しています。また、複数のデジタル・チャネルをサポートしています。これにより、シンプルなルーティングと管理を維持しつつ、効率的でコスト効率の良い方法でコールセンターを稼働させられるようになりました。

ACD と IVR の違い

ACD と IVR(自動音声応答装置)はコールセンターで使用される異なるテクノロジーですが、同時に使うことができます。ACD は事前に定められたルールに基づいて着信呼をルーティングしますが、IVR は音声またはタッチトーン入力を介して顧客とのインタラクションを行う自動システムです。IVR は顧客の応答に基づいて情報提供やルーティングを行います。

IVR を利用して次のことを行うことにより、ACD コールセンターを強化できます。

  • 顧客の要望を掘り下げる。
  • 可能な場合、オペレーターとのインタラクションなしで問題を解決する。
  • コールセンターのパフォーマンスを診断するために必要な情報を提供する。
  •  ACDとIVR、2 つのコールセンター・テクノロジーをシームレスに統合して、カスタマーエクスペリエンスを向上させる。

ACD システムの仕組み・機能

ACD はデータを使用してキュー内の発信者を整理し、定められたルール(オペレーターのスキルや空き状況など)に基づいて特定の発信者を優先的に特定のオペレーターに転送します。
現代の ACD システムは、ニーズに応じて複数の方法でルーティングを行います。ACD ルーティング方針を策定する際には、次のことを考慮する必要があります。

  • なぜ ACD を導入しようとしているのか?
  • その理由はカスタマーエクスペリエンスの目標とどのように合致しているか?
  • オペレーターの空き状況をどのように定義するか?
  • ACD ルーティングへの移行とそれによるワークフローへの影響に対処するために、オペレーターはどのようなトレーニングを受けているか?
  • 目標達成をどう評価するか?

よく使用されるルーティング方法がいくつかあり、それぞれに異なる利点があります。

ACD ルーティングの種類

Improve call centre agent performance - Genesys Blog image

基本的な ACD ルーティング:
基本的な ACD ルーティングは、事前に定められたルールセットや単純なアルゴリズム(ラウンドロビン、アイドルタイムが最も長いオペレーターなど)に基づいて、オペレーターに着信インタラクションを分配します。

優先度ベースのルーティング:
顧客や問題のタイプに割り当てられたランクや優先度レベルに基づいて、インタラクションをルーティングします。優先度がより高い顧客や問題は、空いているオペレーターに先にルーティングされます。

時間帯ルーティング:
この方法は、時間帯や曜日を加味し、オペレーターの空き状況や稼働時間に基づいて、異なるオペレーターグループにインタラクションをルーティングします。

パーセンテージ・ベースのルーティング:
事前に定められたパーセンテージ配分に基づいて、異なるオペレーターグループや部門に着信インタラクションをルーティングします。パーセンテージ・ベースのルーティングでは、各グループが一定数のインタラクションを受信します。

マルチチャネル・ルーティング:
顧客はどのチャネルでもすぐに対応してもらえることを期待しています。このルーティング方法は、指定したルールに基づいて、メール、SMS、チャット、ソーシャルメディアのインタラクションも空いているオペレーターに振り分けます。

スキル・ベースのルーティング:
スキル・ベースのルーティングは、顧客を最適なオペレーターにつなげて解決率を向上させ、顧客満足度を高めることにより、ACD をレベルアップします。オペレーターにその能力に最も合ったインタラクションを処理させることにより、コールセンターの効率を最大限に高めます。これにより、従業員エンゲージメントと、仕事に対する全体的な満足度も向上します。
カスタマイズ可能なルーティング方法

Genesys Cloud™ プラットフォームには、標準的なルーティング、ブルズアイ・ルーティング、プレディクティブ(予測)・ルーティング、優先オペレーター・ルーティング、条件付きグループ・ルーティングなど、様々なルーティングを搭載しています。詳細については、以下の動画をご覧ください。

標準的なルーティングは最も明快な手法で、オペレーターのスキル、優先度、時間帯、パーセンテージに基づく場合や、E メール、SMS、チャットなどの複数のチャネルの垣根を越えてマッピングされる場合があります。

ブルズアイ・ルーティングはこれをさらに先へ進めたものです。特定のスキルを持つオペレーターの対象を絞ったサブキューにインタラクションをルーティングします。オペレーターが空いていない場合は、キューの設定に基づいて、求められるスキル条件を緩和し、オペレーターの枠を広げます。

プレディクティブ・ルーティングは機械学習とコールセンターの履歴データを利用して、空いている最適なオペレーターとマッチングしつつ、選択した KPI を最適化します。

優先オペレーター・ルーティングは初めに、スキルレベル、責任、既存の顧客関係など、定められた特性に基づいてオペレーターを選択します。
最後に、条件付きグループ・ルーティングは、KPI とオペレーターの空き状況の組み合わせに基づいて、別々のキューの間でオペレーターグループを共有できるようにします。

コールセンターのルーティング方針の一環としてどのルーティング方法を選択したとしても、問い合わせのタイプと難易度に基づいてバランスよくキューをセグメント化することが重要です。問い合わせのタイプに基づいてキューを過剰にセグメント化すると、キューの数とオペレーターのスキル要件を管理できなくなる可能性があります。そうなると、オペレーターが十分に活用されなくなり、複雑さが増し、稼働状況の全体像を把握できなくなります。

ACD ソフトウェアの戦略的利点

顧客は大好きなブランドに好みのチャネルを使用して問い合わせられることを期待しています。また、企業は顧客からの問い合わせに対応するだけでは不十分です。顧客は、企業と顧客とのインタラクションにおいて他のどの要素よりも迅速な応答を重視しており(※調査レポートをダウンロードできます)、僅差で次点となったのは、最初のインタラクションでの問題解決です。

ACD ルーティングにより、待ち時間を短縮してカスタマーエクスペリエンスを向上させることができます。さらに、インテリジェントな ACD は、インタラクションを最適な形で分配して、空いている最適なオペレーターとインタラクションをマッチングすることにより、平均処理時間(AHT)とコストを削減し、解決率を向上させることができます。顧客が最適なオペレーターにつながれば、問題がより迅速かつ正確に解決されます。

さらに、従業員エクスペリエンスも改善できます。オペレーターは自身の専門知識が評価されていることを実感し、それが自信、仕事に対する満足度、最終的には生産性の向上につながります。これにより、カスタマーエクスペリエンスを成功させるための好循環が生まれます。

インテリジェントな ACD ソフトウェアにより強化されるのは、コールセンター・ビジネスのソフト面だけではありません。ルーティングプロセスを合理化し、従業員の空き状況と業務負荷を考慮することにより、業務効率が最適化されるため、コールセンターはリソースを最大限に活用し、目標と KPI をより効果的に達成できるようになります。

顧客が終わりの見えない IVR のプロンプトをさまよっていたのは、遠い昔のことです。ACD は顧客を適切なオペレーターに適切なタイミングでつなぐことにより、顧客との関係を強固なものにします。

 

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