コールセンターシステムとは、顧客からの問い合わせに対する窓口業務を効率化させるためのシステムです。ここではコールセンターシステムの仕組みや機能、導入するメリットやデメリットなどを事例と共に解説します。

目次

  1. コールセンターシステムとは?
  2. コールセンターシステムの仕組み・機能
  3. コールセンターシステムの種類
  4. コールセンターシステムを導入するメリット
  5. コールセンターシステムを導入時のデメリット
  6. コールセンターシステムの導入事例
  7. コールセンターシステムを選ぶ時の比較ポイント
  8. 電話システムを導入してコールセンターの課題を解決しよう

 

1.コールセンターシステムとは?

コールセンターシステムとは、オペレーターによる顧客からの問い合わせ対応業務を効率化させるためのシステムです。

コールセンターシステムとは?

CTI や PBX 、CRM 、FAQ を基本として構成され、コールセンターの快適な運営を支援します。自動音声対応や通話記録、顧客管理といった機能が備わっており。大規模なコールセンターはもちろん、小規模なコールセンターでも役立つシステムと言えるでしょう。

 

2.コールセンターシステムの仕組み・機能

コールセンターシステムは、システム単体ですべての機能を網羅できるわけではありません。代表的なシステムには CTI や PBX 、 CRM 、 FAQ が挙げられ、これらを組み合わせて使用します。各システムがどのような機能を担うのか、以下で詳しく解説します。

CTI

CTI ( Computer Telephony Integration )は電話や FAX をコンピューターと統合するシステムで、以下のような機能が備わっています。

  • 着信情報の表示
  • 通話内容の録音
  • 自動音声応答( IVR )
  • 統計レポートの作成
  • オペレーターへの着信の振り分け( ACD ) 等

関連記事:「 CTI 」についてもっと詳しく知る

・ PBX

PBX ( Private Branch Exchange )は複数の電話回線を繋ぎ、 1 つの電話番号へ集約できるシステムです。「構内交換機」とも呼ばれ、以下のような機能があります。

  • 発着信の制御
  • 内線同士の通話
  • 他の電話機への電話転送
  • パーク保留(接続された電話機すべてを保留) 等

CRM

CRM ( Customer Relationship Management )は「顧客管理システム」を意味し、顧客との関係や情報を管理・分析するシステムです。具体的には、以下のようなことができます。

  • 顧客情報の管理
  • 商談情報の管理
  • プロモーション管理
  • 問い合わせ管理
  • 報告書の作成 等

関連記事:コールセンターに CRM を導入するときに必要な基礎知識

・FAQ

FAQ ( Frequently Asked Questions )は頻繁に問合せのある質問をデータベースに登録・分析できるシステムです。以下のような機能があり、業務効率化や顧客満足度の向上に繋がります。

  • 対応履歴の共有、検索
  • ユーザーによる Q&A 検索(不明点の自己解決)
  • 問い合わせ内容のレポート分析 等

 

3.コールセンターシステムの種類

コールセンターシステムには、以下のような種類があります。

種類 特徴
導入形態 オンプレミス型 自社サーバーでの運用
カスタマイズ性が高い
安全性が高い
クラウド型 インターネット経由で外部サーバーを使用
導入までの期間が短い
コストが低い
業務内容 インバウンド型 顧客からの問い合わせに対するシステム
アウトバウンド型 オペレーターから顧客に連絡する際のシステム

・導入形態①:オンプレミス型

【特徴】
自社でサーバーを用意し、システムをインストールして運用します。企業ごとに適した環境を構築できるので、より自社の業務や課題に合った形でカスタマイズすることが可能です。また、システムが外部から閉鎖されているため、高いセキュリティ性を確保できます。
【注意点】
サーバーや周辺機器等を用意するのにコストが掛かり、システムを実装するまでには数カ月程度の期間が必要です。
【こんなお悩みにおすすめ】
すでに別のシステムが導入されており、システム間で連携させた運用が求められる際には、カスタマイズ性の高いオンプレミス型がおすすめです。また、システムトラブル等が生じた場合に素早く対応できるため、顧客満足度に課題を感じている場合にも向いています。

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・導入形態②:クラウド型

【特徴】
インターネットを経由し、外部企業の提供するサーバー内のシステムを使用します。サーバーや周辺機器、ソフトウェア等を準備する必要がないため、短期間で導入でき、運用コストも低く抑えられることが可能です。
【注意点】
あらかじめ構築されたサービスを使用するため、カスタマイズの柔軟性は低くなります。また、インターネットによる外部からの侵入リスクがあるほか、通信トラブル等の影響を受ける可能性がある点に注意が必要です。
【こんなお悩みにおすすめ】
初めてシステム導入するなど、できるだけコストを抑えて運用したい場合にはクラウド型がおすすめです。また、社内スペース等の問題から、自社でサーバーを保有できない企業でも、クラウド型ならコールセンターシステムを導入できます。

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・業務内容:インバウンド型

【特徴】
インバウンド型のコールセンターシステムは、問い合わせなど顧客側からのコンタクトに対応するシステムです。オペレーターへの自動振り分けや自動音声案内等により、受電対応の業務効率化が実現できます。
【目的】
問い合わせの取りこぼしをなくしたり、待たせることによる顧客満足度の低下やクレームを抑止したりすることに繋がります。また、オペレーターが不足している現場においては、業務負担の軽減も目的の一つとなるでしょう。

 

・業務内容②:アウトバウンド型

【特徴】
アウトバウンド型のコールセンターシステムは、オペレーターから顧客に対して行われるテレマーケティングに対応するシステムです。顧客リストや通話内容の記録、あるいは稼働状況の管理等を通じて、業務効率化に役立ちます。
【目的】
架電数の増加やデータ分析によるアプローチ方法の改善等を通じ、売上拡大を目的として導入されます。また、業務効率化やオペレーター数の最適化にも役立つため、コールセンター運用に伴うコスト削減も考えられるでしょう。

 

4.コールセンターシステムを導入するメリット

コールセンターシステムを導入することで、具体的に以下のようなメリットが得られます。

  • 顧客対応の効率化や品質の向上
  • センター管理能力の強化
  • データの活用
  • コスト削減
  • 顧客満足度の向上

・顧客対応の効率化や品質の向上

コールセンター業務の一部をシステムが担ってくれるため、オペレーターの業務負担を軽減すると共に効率化が実現できます。オペレーター毎に生じがちな対応品質の差をなくすことができます。また、対応履歴など蓄積されたデータを教育・研修等に活用すれば、全体的な対応品質の向上にも役立つでしょう。

・センター管理能力の強化

センター運営の状況をリアルタイムのレポートで把握できることで、急なコールの増減など何かトラブルが発生した場合にも、迅速に対応方法を検討することが可能です。また、履歴レポートを振り返りながら、コールごとのパフォーマンスを分析することで、センター運営の改善に向けた課題を発見することができます。

・データの活用

通話録音や顧客対応履歴などのデータを蓄積し、教育・研修等に活用すれば、全体的な対応品質の向上にも役立つでしょう。さらにお客様の声は自社の商品やサービスの改善にもつながります。

・コスト削減

業務負荷が軽減されることで離職率が低下し、採用や教育に伴うコストが抑えられます。また、一部業務をシステムが担うため、コールセンターに必要な人員数が減り、人的コストの削減にも繋がるでしょう。

・顧客満足度の向上

顧客満足度の向上が期待できます。また、自動音声対応やオペレーターの振り分け等で待ち時間がなくなることも、同様に顧客満足度の向上へ繋がるでしょう。

5.コールセンターシステムを導入時のデメリット

コールセンターシステムの導入に当たっては、以下のようなデメリットが考えられることもあらかじめ確認しておきましょう。

・初期導入コストの高さ

コールセンターシステムの導入に当たっては初期費用が発生します。特にオンプレミス型の場合にはサーバーや周辺機器等の準備が必要なため、大きなコストとなるでしょう。

・運用・管理の複雑化

特にはじめてのシステム導入の場合、その運用・管理が複雑化して負担となる可能性があります。あらかじめシステムの運用・管理についてルールを取り決め、社内に周知徹底させておくことが大切です。

・従業員のシステムへの適応時間

従業員がシステムの使用方法を理解し、スムーズに活用するまでには時間が掛かります。教育期間が必要となるケースもあり、すぐシステムが有効活用できるわけではありません。不慣れな間はシステムを煩わしく感じられたり、覚えるために通常業務とは別に時間を要したりすることも考えられます。

 

6.コールセンターシステムの導入事例

コールセンターシステムを導入した事例を、ここで 1 つご紹介します。

・ダイヤル・サービス株式会社

企業向け内部通報やメンタルヘルス相談、公共向けの健康や育児相談、虐待通報をはじめとした相談窓口サービスなどを提供しているダイヤル・サービス株式会社の事例です。コールセンターシステムは同社にとって重要な基幹システムであり、これまで使用していたシステムのサポート終了、また運用コストの高さが課題となりリプレースを検討。その結果、オールインワンの機能を実装し、操作性や将来性の高い Genesys Cloud CX を選定しました。
臨床心理士や産業カウンセラー、看護師、保健師といった約 300 名の相談員が電話対応に当たっています。システムの操作が変わることで相談員の負担が増えれば対応品質に影響が及ぶため、細かな研修機会を設けながらシステムを導入しました。これにより、以下のような成果を得ています。

  • 無駄なコストの削減
  • 管理や担当者のケアを強化
  • 多様なデータを収集し経営に活用

同社ではこれまで蓄積されたデータを AI に学習させ、素早く回答を導き出す AI アシスタントを導入。今後は顧客へのレポート作成に AI による文字起こし機能を活用したり、電話だけでなくチャットなど他チャネルを活用したりといった取り組みも検討されています。

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7.コールセンターシステムを選ぶ時の比較ポイント

コールセンターシステムの導入に当たっては、以下の 5 つのポイントを確認して比較検討しましょう。

  1. 導入形態は何か
  2. 必要な機能が網羅されているか
  3. 使いやすいか
  4. セキュリティ面の心配がないか
  5. 費用なサービス内容に満足できるか

それぞれ、以下で詳しく説明します

・①導入形態は何か

前述の通りコールセンターシステムには「オンプレミス型」と「クラウド型」があり、それぞれ特徴が異なります。自社にとって適した導入形態を検討し、適したシステムを選びましょう。

・②必要な機能が網羅されているか

コールセンターシステムといっても、備わっている機能はさまざまです。また、導入後のカスタマイズ性や、他システムとの連携等も異なります。自社にとって必要な機能を明確化し、すべて網羅されたシステムかどうか確認することが重要です。

・③使いやすいか

使いにくいシステムは従業員の負担を増やしてしまい、かえって業務効率を低下させてしまいます。また、従業員からの不満にも繋がりますので、できればデモ等を用いて実際のシステムに触れ、使いやすさを確認しましょう。

・④セキュリティ面の心配がないか

コールセンターでは個人情報も多く扱います。情報漏洩などのトラブルが起きないよう、高いセキュリティ性のあるシステムを選びましょう。起こり得るトラブルを想定し、それに対する対策が十分であるか確認してください。

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費用やサービス内容に満足できるか

システムの導入・運用にはコストが掛かります。ただし、十分な成果を得られて満足できるサービスであれば、たとえ費用が高くても導入する価値はあるでしょう。費用とサービス内容とを比較し、もっとも満足度の高いシステムを選び事が大切です。

 

8.電話システムを導入してコールセンターの課題を解決しよう

コールセンターシステムについて詳しく解説しました。従業員の負担や対応品質のばらつき、管理の煩雑化といった課題を抱えている企業であれば、コールセンターシステムの導入が解決の手段となるかもしれません。
システム導入に当たっては、費用や機能はもちろん、操作性も重要なポイントとなります。 Genesys のコールセンターシステムは、コールセンターに求められる基本機能から AI などの最先端テクノロジーまで、あらゆる機能を集約しています。お客様のニーズに合わせてカスタマイズしたデモをご提供しておりますので、ぜひお試しください。

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