ソーシャルメディアと CX を組み合わせ、顧客の声に耳を傾ける

ソーシャルメディアは、世界中の人々を結びつける強力なツールです。パブリック・ソーシャルメディア経由で企業に連絡しようとする消費者が増える一方、電話、テキスト、Web チャットといった従来のサービスチャネルの利用は減っています。この傾向は中東とアジアで顕著です。

多くの企業にとって悩ましいのは、社内のカスタマーエクスペリエンス(CX)担当部門においてソーシャルメディアのエンゲージメントを拡充させるための態勢が整っていないことです。その結果、顧客や見込み顧客との関係構築や、さまざまなタッチポイントを横断したデータ結合の機会が失われています。

企業との関わり方に関しては、消費者、特にデジタルネイティブ世代の好みは常に変化しています。カスタマーサービスに直接電話するのではなく、X や WhatsApp といったパブリック・ソーシャルメディアのチャネル経由で企業に連絡することが多く、それに対する反応も期待します。苦情の投稿、支援要請、製品情報の検索など何であれ、ブランドに向けた発言やブランドに関する発言をソーシャルメディアで積極的に発言します。しかし多くの企業では、パブリック・ソーシャルメディアのチャネルをコンタクトセンター以外の部門が管理している場合が多く、マーケティング部門の一業務になっています。そして、ソーシャルメディア戦略担当者の役割は、企業ニュースの詳述、会話のモニタリング、市場におけるブランドの認知度とパフォーマンスの分析などに集中しています。優れたカスタマーサービスに注力しているわけではなく、担当部門と連携しているわけでもありません。問題をさらに悪化させているのは、大多数の企業でソーシャルメディアのプレゼンス管理に個別のソリューションを使用しているという点です。

こうしたソリューションは、カスタマーエンゲージメントのシステムや部門と連携していません。ソーシャルメディアを効果的なサービスチャネルとして活用するためのカスタマー・エクスペリエンス・インフラストラクチャーが、存在しないのです。企業が一歩先を行き、顧客の要望に応えるには、このような状況を変える必要があります。求められるのは、パブリック・ソーシャルメディアのチャネルを通じた、プロアクティブでつながりのあるサービスです。デジタルコミュニケーションに関して言うと、パブリック・ソーシャルメディア・チャネルの利用は、中東の消費者がヨーロッパ、北米、その他の地域の消費者よりもやや先行しています。Genesys では、近い将来、他の市場でも利用が加速すると予想しています。

顧客インタラクションにおいて今や最重要チャネル

企業は、ソーシャルメディアを単なるマーケティングツールとして考えるべきではありません。顧客エンゲージメントや見込み顧客とのつながりを築くための大切なチャネルとして認識すべきです。さらには、貴重な顧客データとビジネスインサイトを収集できる、極めて重要なチャネルでありながら、ほとんど活用されていないことも忘れてはいけません。規模や地域にかかわらず、どんな企業も、ソーシャルメディア・チャネルをエンド・ツー・エンドのカスタマーエクスペリエンス戦略に組み込む方法を検討すべきでしょう。そのため以下は必須と言えます。

  • 既存顧客と潜在顧客が現在どこにいるかを見定め、一方向のエンゲージメントではなく、プロアクティブな会話で顧客に対応できるようにする
  • ソーシャルメディアを効果的に利用するためのツールとリソースを提供し、サービスチームを強化する
  • パブリック・ソーシャルメディア・チャネルで入手できる豊富なデータとインサイトを他のサービスチャネルにも連携させ、顧客がどこにいても状況に沿ったプロアクティブなカスタマーエクスペリエンスを提供する

今日、企業が差別化を図るためには、顧客とブランドのインタラクションの有無にかかわらずすべてのチャネルでシームレスな体験を一貫して構築し、状況に沿ったエンゲージメントを顧客に提供する必要があります。これがいわゆる「チャネルレス体験」です。

消費者の側から見れば、どのチャネルを使用しても同じ体験であるべきであるという概念です。分断することが多いオムニチャネルで重要なのは、すべてのチャネルを提供することであり、チャネル全体でつながりのある一貫した体験を構築することは必須条件ではありません。これに対し、チャネルレス体験では、WhatsApp で始まった会話が電話で終了する場合もあります。顧客の状況に関する情報は、ある会話やチャネルから次の会話やチャネルへ、人やボットの支援を受けて引き継がれます。こうしたチャネルレス化の 1 つが、パブリック・ソーシャルメディアです。

パブリック・ソーシャルメディアを活用して顧客の理解を深める

デジタル経済において、企業はソーシャルメディア・チャネルを積極的に活用し、顧客ベースの進化に対応していく必要があります。その実現をサポートするために、Genesys は Radarr Technologies を買収しました。クラウドに組み込まれた最先端の、AI ベースのソーシャル・デジタル・リスニング、アナリティクス、コンシューマーエンゲージメントを手がける企業です。

Radarr プラットフォームのユーザー企業は、データ視覚化、ダッシュボード、インサイトレポートを使用して、ソーシャルメディアやデジタルの会話からリアルタイムに意思決定を行っています。企業がエンド・ツー・エンドのカスタマージャーニーを向上できるよう、Radarr のパブリック・ソーシャルメディア機能を Genesys の AI ベースのエクスペリエンス・オーケストレーション・プラットフォームに導入します。Genesys Cloud™ プラットフォームの音声デジタル製品(既存のプライベート・ソーシャルメディア・メッセージング・ソリューションなど)を組み合わせることで、企業はソーシャルメディア・チャネルで顧客の声に耳を傾け、会話を通して問い合わせをロイヤルティー構築に変えることができます。Radarr Technologies の機能と Genesys Cloud の統合により、次のような変革が実現します。

  • ソーシャルメディアのインサイトを 360 度顧客ビューの重要なソースとして活用し、Genesys AI に反映させることで、CX 全体における顧客の態度や感情、インタラクションのデータを緊密に連携できます。
  • パブリック・ソーシャルメディアの投稿を起点とする、複数プラットフォーム(Apple App Store、Facebook、Instagram、X、YouTube、Google Play、Google My Business など)間の会話に直接アクセスできます。
  • Radarr 独自の AI ベース多言語感情モデルにより Genesys の自然言語処理(NLP)機能を強化することで、顧客に対する理解を深め、優れたサービスを提供できるようになります。Radarr と Genesys の統合により、100 以上の言語と方言にわたって NLP が追加されます。Genesys のポートフォリオにこの機能を組み込むことで、あらゆる言語や方言で使われているスラングや話し言葉を検出できるようになります。

Radarr と Genesys Cloud の機能を組み合わせることで、企業はカスタマーエクスペリエンスの統合とパーソナライズが可能になります。Genesys なら、従来のサービスチャネルとパブリック・ソーシャルメディア・フィードを合わせた全体のインサイト連携を通じて、エクスペリエンスオーケストレーションの効果を高めることができます。企業は顧客の状況に沿ったリッチなエンゲージメントを提供し、顧客ロイヤルティー向上と差別化を推進できます。Genesys Cloud へのネイティブ統合に先立ち、一部地域では、Genesys AppFoundry® Marketplace で提供されるインテグレーションを通じて Radarr の機能を利用できるようになります。公開時期は 2024 年第 1 四半期を予定しています。詳細とデモのスケジューリングについては、Genesys AppFoundry の Radarr をご覧ください

シェア: