さまざまな業種において、カスタマーエクスペリエンスの変革、業務効率の向上、事業の成長促進のための貴重なツールとして人工知能(AI)が台頭しました。しかし、企業の規模にかかわらず、AI テクノロジーの構築と維持にかかるコストは大きな課題となります。

適切な料金モデルを選択することは、AI ソリューションを導入する際の非常に重要なステップです。豊富な選択肢の中から、現在のニーズ、将来の目標、予算のバランスをとりつつ、適切なものを選択することは、非常に難しい場合があります。主要な料金モデルそれぞれの長所と短所を理解することが、最善の決定をするための鍵となります。

迅速に人工知能のコストを試算(英語記事)するために最も一般的な AI 料金モデル

  • ライセンスベース
  • 消費ベース
  • サブスクリプションベース
  • フリーミアム
  • 収益共有型
  • 成果ベース

の6つについて考えてみましょう。AI の導入を開始したばかりの企業でも、既存の戦略や機能の改良を進めている企業でも、こうしたインサイトは、適正予算の範囲で AI ツールによって、最大の効果を生むために役立つはずです。

目次

 

AI 料金モデル:コスト管理に最適なモデルはどれか

AI ベンダーが提供する基本的な料金モデルには、それぞれ独自の強みと欠点があります。次の AI プロジェクトを開始する前に、コスト管理の観点から各モデルの特徴を詳しく見てみましょう。

1.ライセンスベース:予測可能だが、多額の初期投資が必要

ライセンスベースの AI モデルでは、一定期間の AI ソフトウェアへのアクセスに一回限りの料金がかかります。この料金モデルでは、ライセンス期間を通じてコストが固定されるため、予算を予測できます。しかし、高額の初期投資が必要になるため、小規模ビジネスや柔軟性を必要とする企業にとっては莫大な投資となる可能性があります。ライセンスベースの料金モデルは、明確に定められた長期的な AI 要件のある企業に最適です。

2.消費ベース:柔軟性はあるが、変動する

このタイプの AI モデルは、従量課金と呼ばれることが多く、API コールやデータ処理量など、特定の使用状況に基づいて課金します。消費ベースの料金モデルは拡張性と柔軟性があるため、需要の変動に応じて AI システムの使用を調整できます。季節性のニーズや変動するニーズのある企業に最適ですが、財務計画に対する柔軟なアプローチが必要です。リアルタイムの適応性を求めている企業や、単に実験のための自由度を求めている企業は、このモデルにより、機能活用とコスト効率のバランスをとることができます。

3.サブスクリプションベース:一貫性はあるが、柔軟性がない

サブスクリプションベースの料金モデルでは、AI サービスに継続的にアクセスするために、企業は月額または年額の料金を繰り返し支払います。支払いの一貫性がもたらされ、財務計画が簡略化されるため、このモデルは安定的に AI を利用する企業にとって魅力的です。ただし、固定費用という性質上、閑散期には容量を十分に使用していないにもかかわらず料金を支払う必要があることや、ツールをあまり使用しないユーザーやオペレーターの料金もかかる場合があります。そのため、SaaS(Software as a Service)料金モデルは非効率的になる可能性があります。

4.フリーミアム:低リスクだが、高コストになる可能性がある

フリーミアムモデルは低リスクのエントリーポイントであり、基本的な AI 機能を無料で利用できます。企業の成長に応じて有料プランに移行することにより、高度な機能を利用したり、使用を拡大したりすることができます。これは AI ソリューションをテストするための手ごろな方法ですが、ニーズが拡大するとコストが急速に増大します。フリーミアムは AI オプションを検討したい企業に最適ですが、予期しない費用を防ぐために注意深く監視する必要があります。また、このモデルでは必ずしも高度な機能が用意されるとは限りません。

5.収益共有型:目標が合致するが、複雑

収益共有型の料金モデルは、ベンダーの報酬と、AI 機能が生み出す財務的成果をリンクさせます。これにより、初期コストが減少し、AI ベンダーの成功と企業の成功が合致し、成功に向けて協力する動機が生まれます。しかし、AI を活用した事業活動が拡大するにつれ、収益が AI ソリューションに直接起因しているとみなすことが困難になる可能性があります。また、財務管理が複雑化し、不明瞭になる可能性があります。

6.成果ベース:成果重視だが、定義が困難

成果ベースの料金モデルは、事前に定められたビジネス目標の達成など、特定の成果に支払いをリンクさせます。測定可能な成果が得られた場合に限り AI ベンダーへの支払いが生じるようにして、財務リスクを最小限に抑えることができます。しかし、明確なパフォーマンス指標を規定して合意することは困難な場合があります。成果の測定方法に関する意見の相違が原因で、プロジェクトの進展に苦労する可能性があるため、このモデルを効果的に実行するのは困難です。

 

トークン化が AI 料金モデルに適している理由

Genesys は、AI 料金モデルは柔軟でコスト効率の高いものにすべきと考えています。そこで、Genesys AI Experience トークンを使用した、消費ベースのモデルを導入しました。AI におけるトークン化は、使用コストに一定の測定単位を割り当て、AI エンゲージメントをリアルタイムで追跡する方法です。あらゆる規模の企業がリソースを動的、効率的に割り当てることができます。トークン化では、実際に使用している AI 機能に対してのみ支払いが発生するため、拡張性とコスト効率に優れた方法で AI を業務に取り入れることができます。

 

実際の成功事例:Virgin Atlantic における、コスト効果の高い AI 統合

コスト効果の高い AI 導入は、必ずしも多額の投資から始まるとは限りません。多くの企業は、小規模に始めて戦略的に拡張することにより、成功を収めています。例えば、Virgin Atlantic は Genesys のプレディクティブ・ルーティングを利用して AI の導入を開始しました。プレディクティブ・ルーティングは、カスタマーサービスを大幅に改善することにより、迅速に効果をもたらす、手ごろな価格のソリューションです。

プレディクティブ・ルーティングは、顧客を最適なオペレーターにつなげる(「The Power of AI in Customer Experience Goes Beyond the Chatbot」)ことにより、迅速な解決を実現しただけでなく、コンタクトセンターのオペレーターの強みと、オペレーターが最も適切に処理できるタスクを合致させることにより、従業員エンゲージメントを向上させました。Virgin Atlantic および Virgin Atlantic Holidays のカスタマーセンター担当副社長であるルイーズ・フィリップス氏は、次のように述べています。

「当社のオペレーターは、適切なお客様に適切なタイミングで優れたサービスを提供していると実感できるようになりました。今では、お客様との関係に責任を持ち、深い信頼関係を築くことができるようになりました。その結果、従業員の意欲が高まり、サービス品質を向上させることができただけでなく、努力を誇りに感じられるようになりました」

AI の価値が実証された後、(「AI Business Case: Understanding What AI Can Do for You」)Virgin Atlantic は Genesys と提携して AI 機能を拡張する長期計画に取り組みました。

Virgin Atlantic のアプローチは、ターゲットを絞ったソリューションからスタートし、その後拡張することのメリットを明確に示しています

AI の導入を評価する際には、先行コストにとらわれずに考えることが非常に重要で、継続的な AI メンテナンスコストを含む総所有コストと拡張性について検討しましょう。特に重要なのは、どれくらい早く投資対効果(ROI)が見込めるかを検討することです。ビジネスに明確な成果をもたらす可能性が非常に高いユースケースに投資することが、AI 戦略を追求するためには重要です。また、予想より早く投資対効果が得られれば、さらなる投資の根拠となります。

 

スタートは小規模に、スマートに AI を拡張

AI はカスタマーエクスペリエンスと事業活動を変革する可能性を秘めていますが、そのコストを管理することは、AI の価値を最大限に引き出すための重要な要素です。さまざまな AI ライセンスモデルの長所と課題を把握することにより、自社の目標と予算に合った戦略を選択することができます。

Genesys AI Experience トークンは、各企業のニーズに対応する、拡張性の高い料金モデルを提供しています。導入をスタートしたばかりの企業でも、拡張を進めている企業でも、この柔軟なモデルにより、リソースを最適化しつつ、確実にイノベーションを推進できます。

ぜひ Genesys の eBook をダウンロードしてください。コンタクトセンター内外でコスト効果の高い AI 統合と持続可能な成長を目指す企業に知ってほしい、このモデルの優位性を解説していいます。