会話型バンキングの先駆け

Rabobank は、顧客と従業員を第一に考え、オランダの金融サービス市場初と考えられる独自の会話型バンキング戦略を考案しました。現在、同社のコンタクトセンターは 80 を超える部門の 1 万 5000 人以上のユーザーをサポートしており、Genesys Cloud™ プラットフォームを導入してから耐障害性と俊敏性が大きく向上しました。この移行により Rabobank はコストとリスクを削減し、新しい部門、チャネル、機能を自由に導入できるようになり、競合他社よりも速く顧客にイノベーションを提供することが可能になっています。

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220 万ドル以上の削減

ハードウェア・IT 担当者の人件費

生産性が 25% 向上

非同期 Web メッセージングを利用

問い合わせの 45% に回答

バーチャルアシスタントによる対応

顧客満足(CSAT) 90% 以上

デジタル・チャネルに関する満足度

従業員の業務能力向上

個人的な成長も促進

新機能の導入

数日で展開が完了(以前は 4 週間)

Web メッセージングは 25% 効率的(電話対応と比較)であるため、オペレーターを増員することなく多くの顧客に対応できます。ビデオ通話の導入以降、住宅ローンの新規契約が大幅に増加しています。

— Thom Kokhuis, Head of Conversational Banking, Rabobank

カスタマーエクスペリエンスの向上を追求

Rabobank は、金融サービスを通じて人と社会にポジティブな影響を与えることを使命としています。この協同組合型銀行は、オランダの小売業や法人企業を顧客とし、グローバルな食品・農業分野に重点を置いています。同行の事業は、中央組織、89 の現地支店、専門の海外オフィスで構成されています。Rabobank の成功を支えるのが、質の高い一貫したカスタマーエクスペリエンスです。しかし、同行のコンタクトセンター・チームは Genesys や Cisco のレガシーシステムなど、複数の独立したオンプレミス製品を使用していたため、支店間の情報共有、顧客データの一元管理、有意義なリアルタイムデータの取得などが不可能でした。IP テレフォニー、ルーティング、レポーティング、音声録音、CRM システム統合などの基本的な要件も複雑化が進み、管理が困難になっていました。同行は以前、ライブチャットを導入し、さらに Nuance の人工知能(AI)ソフトウェアをベースにしたチャットボット Nina を構築しましたが、このソリューションは部門間で分断された状態で運用されていました。セキュリティコンプライアンスも問題でした。加えて当時のサプライヤーから提供されるソフトウェアリリースはほとんどがバグ修正であり、大きな効果をもたらす新機能は提供されませんでした。

「コールとチャットの量が増えたことで、キューと待ち時間が長くなっていました」と Rabobank の会話型バンキング担当責任者、トム・コクワス氏は述べています。「そのトラフィックの中には、残高確認、住宅ローンの申し込み、カード紛失の報告など、基本的な問い合わせが含まれることもありました。」

マトリックスの作成

Rabobank は全行規模のクラウドファースト戦略の一環として、Genesys Cloud プラットフォーム上に会話型の新しいバンキング・サービス・モデルを構築しました。「クラウド向けにパッケージし直したオンプレミス製品ではなく、ゼロから構築されたネイティブなクラウドソリューションを提供してくれるパートナーが必要でした」とコクワス氏は付け加えます。「オープン API とマイクロサービスアーキテクチャーを使用し、DevOps の優位性と迅速なイノベーションを追求するパートナーを探していました。」同行は、オランダの金融サービスでは初の新しいアプローチを用いて、カスタマージャーニーをマトリックスにプロットしました。横軸が顧客にとっての価値、縦軸が銀行にとっての価値を示しています。例えば日常業務であれば、左下の指標は「時間の節約」となり、人による対応が成果を左右する場合、右上の指標は「有意義な時間」となります。Genesys のワークフォース・エンゲージメント管理(WFM) により、必要な時に、必要な場所へ、適切な専門性を有する人員を常に配置できます。

「会話型バンキングとは、アプリ、24 時間 365 日対応の仮想アシスタント、非同期メッセージングツール、インスタントビデオ通話など、最適なデジタル・チャネルにお客様をインテリジェントに誘導する仕組みです」とコクワス氏は説明します。「お客様をシームレスに転送し、チャネル間で摩擦が発生しないようにすることも同じく重要です。」

80 以上の部門をシームレスに移行

同時利用ユーザー 600 人を擁するプライベートバンキング部門の第一フェーズの移行は、88 日で本稼働を開始しました。Rabobank では会社全体の 80 を超える部門でこのプロセスを繰り返し、9 カ月間に合計 1 万 5000 人のアドバイザー(フロントオフィス 5000 人、バックオフィスと支店 1 万人)の移行を完了しました。外部リソースを極力使わずに、内部リソースで達成した偉業でした。「プロジェクト全体を通じて、インシデントゼロ、つまり機能喪失やカスタマーサービスの中断を起こさず遂行するという目標を達成できました」とコクワス氏は述べます。同行の顧客対応チャネルは主に 3 つあります。バーチャルアシスタントか人間のオペレーターが対応する「Web メッセージング」、コロナ禍でメインのチャネルとなった「音声」、お金に関する重大な意思決定をする顧客に共感をもって寄り添える「ビデオ」です。一方、アウトバウンドのコミュニケーションは、マーケティングキャンペーンとセキュリティ警告を積極的にサポートします。

利用価値の高いボットとビデオの統合

Rabobank は、Microsoft Power Virtual Agent 上で動作する 2 つのバーチャルアシスタント(Genesys Open Bot Connector を介して Genesys Cloud に統合)を短期間で相次いで立ち上げました。1 つはライブチャットに代わる新たなメッセージングチャネルで、もう 1 つは 24sessions という Genesys AppFoundry® マーケットプレイスのソリューションです。このソリューションを使用すると、オペレーターはビデオ通話への招待リンクを含むメッセージを即座に送信できます。

Rabobank team celebrating their 2022 Genesys Customer Innovation Award

「アドバイザーはワンクリックで簡単に、電話と Web メッセージングの切り替えやビデオ通話へのエスカレーションができます」とコクワス氏は説明します。「毎月 1 万 5000 件ほどのビデオ通話でお客様と会話しています。その多くは、新居の購入や家族の死など、感情の大きな動きを伴うライフイベントです」

マッチングの向上、最高の体験

パーソナライゼーションと顧客の負担軽減も Rabobank の優先事項です。例としては、顧客と住宅ローンアドバイザーが、シームレスにインタラクションできるよう、同行の CRM システムは電話の発信者を識別し、可能な限り同じ担当者に直接転送します。顧客の目的に応じたスマートなルーティングルールがここで重要な役割を果たします。このルールは、顧客との会話をどの時点で引き継ぐかを判断し、最適なチャネルと最適なアドバイザーへ顧客をつなぎます。そうしたルールは、顧客心理(音声認識分析を使用)、現在の製品と価値、クロスセルやアップセルの機会などの要因を検出します。また、待ち時間、スキル、対応可能なリソースを適切なタイミングで問い合わせとマッチさせます。

顧客一人ひとりの状況に対応

銀行の新しいクラウドコンタクトセンター・プラットフォームは、耐障害性と俊敏性を向上させ、ビジネス、クライアント、従業員のコストとリスクを大幅に削減します。また、Rabobank は新しい部門に簡単にオンボードし、チャネル、機能、サービスを追加して、競合他社よりも速く顧客にイノベーションを提供することが可能です。「Web メッセージングは 25% 効率的(電話対応と比較)であるため、オペレーターを増員することなく多くの顧客に対応できます」とコクワス氏は話します。「ビデオ通話の導入以降、住宅ローンの新規契約が大幅に増加しています。」音声からデジタルファーストの会話型バンキングへと移行することにより、利便性が向上し、カスタマーエクスペリエンスが改善します。バーチャルアシスタントは、24 時間 365 日休むことなく、全質問の約 45% に回答しています。Web メッセージングの量は、全インタラクションの 15%から 20% に増加しています。こうした改善により、これらのデジタル・チャネルの顧客満足(CSAT)は 90% 以上に達しました。

労力削減、エンゲージメント向上、従業員満足度向上

単一のオムニチャネルソリューションへの移行は、同行の売上、最終収益、パフォーマンス KPI にプラスの影響を与えました。オンプレミスのシステムを廃止したことにより、年間のハードウェアコスト 75 万ドルと IT スタッフの人件費 150 万ドルが削減されました。新機能やルーティングポリシーなど業務に関わる変更には、これまで 4 週間ほど要していましたが、数日で導入できるようになりました。「相手がオフラインでも返信できる非同期の Web メッセージングの導入以降、時間も手間もかかるライブチャットのキューが溜まることがなくなりました」とコクワス氏は言います。「また、お客様をキューに保持できるため、オペレーターとお客様、両方の負担が軽減されます。会話は簡単に再開でき、最初からやり直す必要がありません」

以前は、別々のチームのアドバイザーが電話やライブチャットによる会話に対応していました。現在では、AI ベースの仮想エージェントを使用した電話とビデオによる通話、Web メッセージング、セルフサービスを提供しています。音声はもはや主要チャネルではありませんが、デジタル・チャネルでは適切に対応できず、音声が効果的であると考えられる場合には、音声によるサポートも提供されます。

— Thom Kokhuis, Head of Conversational Banking, Rabobank

従業員体験も向上しています。デジタルツールの力を借りて、強い感情を伴う複雑な状況に対処できるようになったため、アドバイザーは仕事から大きな充足感を得られるようになりました。また、ワークロードと個人のパフォーマンスを、それぞれの目標値に向けて細かく調整できるようになりました。「以前は、別々のチームのアドバイザーが電話やライブチャットによる会話に対応していました」とコクワス氏は締めくくります。「現在では、AI ベースの仮想エージェントを使用した電話とビデオによる通話、Web メッセージング、セルフサービスを提供しています。音声はもはや主要チャネルではありませんが、デジタル・チャネルでは適切に対応できず、音声が効果的であると考えられる場合には、音声によるサポートも提供されます。」

概要

お客様: Rabobank

業種: 金融サービス

所在時: オランダ、グローバルに事業を展開

コンタクトセンター: 約 1 万 5000 名のアドバイザー

課題

  • 80 を超える部門をクラウドに移行する
  • 会話型バンキングモデルを構築する
  • ジャーニーとチャネルをマッチさせて最大限の効果を得る