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カスタマーエクスペリエンスの向上に役立つ10種類のAI

アイスクリームブランドがたくさんのフレーバーを用意しているように、人工知能(AI)にも数多くの種類があります。コールセンター関連では、企業とエージェントは次の10種類のAIを活用してカスタマーエクスペリエンスをハイパーパーソナライズすることができます。

1. スマートデータ

企業は長年、「汚れた」データに悩まされ、AIから正確な結果が得られませんでしたが、ありがたいことに、AI自身の機能を利用して、「汚れた」データ、つまり重複データの一部を解消できます。

電話番号を例に説明しましょう。だれかに自分の電話番号を伝えるとき、ハイフンやダッシュ、ピリオド、スペースを入れたり、あるいは数字だけを書いたりと、表現方法はさまざまです。電話番号の伝え方のようにバリエーションがあること自体は悪いことではありません。しかし、さまざまな形式から1つのデータポイントとして読み取ろうとすると、話がややこしくなります。幸い、同じデータがさまざまな形式に姿を変えていたとしても、AIが関係性マッチングを使用して認識し、データを整理してくれるので、1人の顧客に5つもの重複した連絡先を登録する必要はありません。

2. ビジネスシミュレーション

AIは、より適切な判断に役立ちます。履歴データマッチを分析してトレンドを特定し、状況が変化したときにそのデータがどう変わるか動的に再計算します。AIが生成するこの種のアルゴリズムにより、情報に複数のレイヤーが加わり、より的確で正確な意思決定につながります。特に「What-If」シナリオの評価や、新しい地域に実店舗をオープンすべきかどうかといった人間特有の考察にうってつけです。

3. 相関と共分散

ビッグデータのように大量に積み重ねられたデータを理解することは簡単ではありません。しかも、こうしたデータは他のデータポイントと連動して常に変動しています。AIの助けがなければ、データを解析して行動することは、途方もなく困難になるでしょう。

AIは全体像がなくても数学の相関係数を用いて欠落しているデータの数値を予測し、重要なプロセスが人間には認識できないレベルで発散するタイミングを示してくれます。発散を早い段階で把握できれば、リスク緩和とコスト回避につながります。

4. パターンマッチング

この種のAIはおそらく利用したことがあるでしょう。特にAmazon Prime会員なら、よく目にするはずです。多くの小売業者やコールセンターでは、新規ユーザーを既存顧客のパターンにマッチングさせて次の行動を予測したり次の段階を提案したりするためにAIを利用しています。スティーブン・キングの最新作を読み終えたら、他の著者による類似のSFやホラー作品の広告や提案を受け取った、という経験はありませんか?この種のAIは顧客の興味を特定し、その顧客の情報や似た顧客の行動に基づいて新商品やリソースを推奨してくれます。

5. 機械視覚

有用な情報は、人間の口から発せられる言葉やデータとして入力されている言葉からだけでなく、筆記されたものや絵として描かれているもの、写真からも引き出すことができます。AIによるマシンビジョンはここ10年あまりで大きく進化しました。近いうちに、スマートフォンで写真を撮るだけで問題の特定ができるようになるかもしれません。例えば、接続不良の機器の写真から配線のゆるみを発見したり、家電に貼ってあるメーカーラベルの写真からシリアル番号や製造年月日など、問題と解決策を素早く限定するのに役立つ固有情報を手に入れたりできる日が来るでしょう。

6. 自然言語処理(NLP)

NLPは人間の話す言葉を理解します。Siriがまさにその機能を持っており、世界中の人々から常に無数の質問を受けています。しかし人々が質問する際の表現は実に多様です。例えば「外の気温は何度?」、「気温は?」、「天気はどんな感じ?」といった具合です。

質問を特定して回答するために、AIは聞き取った言葉を1語ずつテキストに変換して解釈します。これにより、コンピューターはどのような表現の質問にも回答することができるのです。解釈した後は、正しい答えを見つけて話し言葉として音声で返答します。

7. 音声分析

AIは質問や命令に使われる多様な表現を理解するだけではありません。企業がそのリクエストに込められた意図を理解するのにも役立ちます。例えば、顧客がコールセンターに電話をかけると、音声自動システムを通じて音声分析AIが顧客の言葉の選択、勢い、トーンを分析し、感情を検出します。また、リクエスト内容をキーワードに分け、例えば「私は当座預金口座から普通預金口座に500ドル振り替えたい」というように対応すべき内容を抽出します。

8. 質疑応答の明確化

上で紹介したAIの機能を利用すれば、よくある質問の回答を収めたデータベースを顧客が直接、簡単に照会できるようになります。音声分析からリクエスト内容を特定した後、質疑応答の明確化を行うAIが、あらかじめ設定された対応方法に基づいて返答します。複数のシステムから類似の回答を比較・評価して、最適なものを出力することもできます。これにより、顧客は欲しい情報を素早く入手できるようになるため、従業員はもっと複雑なリクエストに専念できます。

9. プロセス自動化(RPA)

AIは効率化とコスト節減のために自動化できるプロセスを認識し、提示することができます。履歴データの分析により、繰り返し発生するコストの高いプロセスを特定し、バックエンド処理を自動化することが可能です。RPA AIは依存関係がある行動を分類・階層化して自動化プロセスを整理し、複雑なプロセスでも人間に理解しやすいようにします。

10. 情報の要約

人間は膨大な量のデータを消費したり理解したりするように作られていません。AIの助けがなければ、データは行と列の集合体に過ぎません。AIはカスタマージャーニーを視覚化して全体像を示してくれます。他のツールを援用すれば、さらに踏み込んだデータ分析と行動の優先順位付けも可能です。

このようなAIによるデータ要約を使えば、重要なイベントや関連する問題を浮き彫りにすることもできます。例えば、毎週数百件もの問い合わせを処理するコールセンターの従業員を想像してください。延々と続く会話を読み進めるうちに重要なポイントを見逃すかもしれません。AIなら、頻出するキーワードや表現、質問を特定し、素早く検討して行動を取ることができます。同じ質問に対して似たような回答が何度もされていれば、その行動を自動化し、ボットの管理対象としてキューに追加します。

AIはカスタマーエクスペリエンスと従業員エクスペリエンスを進化させ、より良いものにしてくれます。コールセンターの従業員と同じレベルの対応は無理だとしても、AIは顧客とのインタラクションのたびに上達し、ますます有用になっていきます。そのことからも、AIの進化はまだ始まったばかりに過ぎないことが分かります。AIとコールセンターの未来には、(ほぼ)無限の可能性が広がっているのです。