サードパーティーシステムを接続してカスタマーエクスペリエンスを提供

今の時代、顧客と取り引きするには複数チャネルが必要です。例えば、音声インタラクションの終わりにその概要をメールで送信する、デジタルインタラクションで問題があった顧客にコールバックを申し出る、他のチャネルで割引コードや満足度アンケートを送信する、といった取引です。しかし、こうしたインタラクションを効率的に行うには、データが複数ソース間でシームレスかつ継続的に転送でき、数多くの自動化されたワークフロー内で簡単に管理できるようになっている必要があります。また、すべてのインタラクションを測定してスピーディかつ俊敏に改善できるようにしておきたいものです。

すべての中心にあるインタラクションにおける顧客の満足度はさまざまです。そして、インタラクションはデータに始まり、データに終わります。

クラウドからのスマートデータ

ほとんどの企業はCRMソリューションから得られる情報をはじめとする貴重な顧客データを豊富に持っており、そうしたデータはジェネシスAIのように拡張可能なデータモデルを使用して簡単に接続できます。スマートクラウド・データシステムを使用すれば、異種のデータソースやAPIなど、複数ソース間で関連性を自動的に見つけ、そのデータを簡単に統合することができます。また、関連データを素早く効率的に取得するのが容易になります。

レガシーデータベースでは、全く互換性のないインデックスやテーブルが使われていることがあります。スマートデータベースはすべてのデータを再評価する機能を備えているため、電話番号や日付、時間など、よく使われるデータ形式をISO標準に正規化することも可能です。データベース内の人工知能(AI)がそうした作業やシームレスなデータ同期を行います。そのため、現在だけでなく将来的な処理においてもデータを柔軟に使用することができます。

「中間者」プラットフォームを顧客とのインタラクションに利用する

AIテクノロジーは今後も進化します。数年後には、システムを稼働するために、今とは異なるAIツールとベンダーが必要になるかもしれません。例えば、現在Amazon LexやGoogleに直接連携している企業が、将来的にそれを変更するつもりだとします。新しいテクノロジーを活用するためにはデータをすべてやり直さなくてはならず、追加コストやサービス停止が必要になります。

アナリストのシーラ・マギー・スミス氏によるウェビナーにおいて、参加者が最大の懸念事項として挙げたのが柔軟性の獲得でした。「中間者」プラットフォームを使用してインタラクションフローの自動化、つまりオーケストレーションを行えば、新しいテクノロジーへ柔軟に適用できるようになります。個別のチャネル内におけるいくつかの重要なパスにアクセスするのではなく、あらゆるポイントにおいてすべてのチャネルにアクセスして顧客に望まれるインタラクションを構築できます。また、顧客を中心に据えた現行のレポーティングを使いながらすべてのインタラクションを測定し、多数のチャネルに同じフローを再利用することも可能です。

「中間者」コンセプトを採用すれば、AIやボットによるインタラクションを監視することもできます。プレディクティブエンゲージメントにより、すべてのカスタマージャーニーを同時に追跡できるので、カート放棄が発生するタイミングなど、インタラクションが望ましくない状態になりそうなタイミングを評価したり、対策を取る最適なタイミングを特定したりすることが可能です。ジェネシスAIを使えば、オンラインの見込み顧客や顧客の意図を把握し、適切なタイミングに適切なリソース、行動により働きかけることにより、彼らの発見、獲得、維持を行うことができます。

体験について顧客をフォローしたければ、すぐにメッセージを送信して、詳細を説明するために後日電話するための日程調整を求めたり、緊急であれば至急電話したい旨を伝えたりできます。顧客が了承したら、電話をかけます。これにより信頼と評判が生まれるはずです。

別のシステムにある単体の監視機能を追加すれば、ビジネス拡大の柔軟性が広がります。そこで得た情報はワークフローやプロセス自動化の内部で使用することができます。

顧客との真の会話を測定する

大抵の企業はIVRやSMS、ソーシャルネットワーク、Webサイト、メールなどから顧客データや顧客とのインタラクションのデータを大量に入手しています。そこで課題となるのが、データを使用して単なる機械的な指標としてではなく、目に見える形で顧客を理解することです。顧客のジャーニーと行動は一人一人異なり、それを理解する必要があるためです。測定は困難を極めますが、優れたカスタマーエクスペリエンス・プラットフォームを構築するためには極めて重要です。

Amazon Lexをお使いの場合、インタラクションの履歴を取得しようとしても、会話全体ではなく1つの通話とそれに対する対応のペアの情報しか得られません。なぜなら、Amazon Lexをはじめとするステートレスボットは命令を実行した後、すべての状態を消去するからです。顧客が何をリクエストし、ボットがどう対応したかの概要が示されている個々の取引内容しか得られません。顧客とのインタラクションのレポートを作成したければ、ペアをすべてデータベースに入力し、つなぎ合わせなければ会話の全容が把握できません。

カスタマーエクスペリエンス・システム内でワークフローを自動化する

現代のインタラクションには、複数のチャネルが使われます。今のワークフローがどのように構成されているか見直してみましょう。複数チャネルにわたるインタラクションを、簡単に構築・維持できますか?ワークフローで判断を下すには、それが単純か複雑かを問わず、さまざまな種類のデータを結びつける必要があります。Amazon Lex内でワークフローを構築すると、複雑な外部連携をしない限り、顧客メールにアクセスできなくなります。

身元確認の方法について考えてみましょう。米国では、社会保障番号の下4ケタによる確認が一般的です。1つのインタラクションで複数のチャネルを使う顧客が増えているため、複数デバイスによる認証を行うこともできます。そのワークフロー内においてSMSにアクセスできるなら、顧客にテキストメッセージでコード番号を送信するのも簡単です。対象の番号を検証するだけでなく、認証されたサードパーティーチャネルを通じていつでもその顧客にリーチできるようになります。このレベルのセキュリティと柔軟性で迅速に他のシームレスなフローを構築できることが、オムニチャネルプラットフォームの大きな強みです。

必要な場合に複数チャネルを使う

1つのチャネルでボットの稼働を始めたら、将来的に他のチャネルにも導入する可能性が高いでしょう。こうしたやり方なら、そのボットとワークフローを他のすべてのチャネルに接続したり適用し直したりするのも簡単です。

カスタマーエクスペリエンス・プラットフォーム内に保存されているデータがAIに対応していれば、全データの変換に奮闘せずに済みます。アジャイルアプローチにより、わずかなステップでAI機能を構築し、順次テストを実行できます。その上で、再利用可能なオブジェクトを構築し、複数の場所で同じパーツを使用します。

アジャイルなカスタマーエクスペリエンスは、サードパーティーAIと深く連携する場合と比べ、構築と管理が容易です。汎用性のある共通オブジェクトのほうが維持しやすく、注文システムや在庫ツール、コミュニケーションツール、HRツールなどのシステムに変更が生じたときの再割り当てがシンプルです。サードパーティーシステムと連携する上で柔軟性が極めて高く、将来的なAIテクノロジーの使用においても拡張の余地があります。

ジェネシスAIのような中間者プラットフォームを使用してすべてのインタラクションをつなぎ合わせるもう1つの大きなメリットは、オムニチャネル機能により、既存のチャネルが確保されるという点です。

顧客にスムーズさを提供する

現代はだれもが常につながっているデジタルの時代です。言い換えれば、顧客が連絡してきたときに業務をよりシームレスに改善するチャンスがたくさんあるということです。しかし、そのためにはデータの接続やスマート化、機械ではなく人間の観点から見たインタラクションの測定、あらゆるチャネルにおける柔軟性のある自動化が可能なカスタマーエクスペリエンス・システムが必要です。加えて、そうしたシステムには企業とチームが新しい体験を生み出せるよう、現在だけでなく将来にわたりAIシステムに接続できる機能も必要です。今こそ、主体的に行動を取り、顧客に当然の権利として求められている体験を提供すべき時です。