ボットを活用し、カスタマーエクスペリエンスを向上させる3つの方法

チャットボットは、人工知能(AI)や機械学習をはじめとする、最新テクノロジーの象徴と言えます。ボットは運用を重ねるごとに、生産性や利便性が向上します。言語処理能力も向上し、顧客満足度向上にもつながります。

チャットボットが最初に注目されたのは、セルフサービスの促進に有効であることが判明したときです。チャットボットは24時間365日稼働し、単純なタスクを自動化できます。会話やチャネル数の増加に伴い、AI搭載チャットボットの処理量も増加してきました。最新のボットは、オペレーターの業務量軽減だけでなく、コスト削減にも貢献します。

しかし、AIシステムやボットによっては、複数チャネルの連携に対応していないものもあり、一貫したカスタマーエクスペリエンスを実現できない場合があります。オムニチャネル対応のボットを選択することで、外部AIソリューションとの連携が可能になります。顧客エンゲージメント構築、カスタマーエクスペリエンス向上のための新たな選択肢と言えます。

チャットボットによるビジネス改善の例

  • 初回解決率(FCR) – ボットが顧客と履歴を特定し、次のステップを提示
  • オペレーターの活用 – 単純な反復作業はボットが対応するため、オペレーターは対人サポートが必要な業務に集中可能
  • カスタマーエクスペリエンス – ボットは瞬時に顧客へ選択肢を提示し、営業時間外でも問い合わせに対応

1. 顧客のストレスを軽減

使用手順の簡素化

目的の情報をWebサイトで見つけられない場合、顧客は別のサイトに移動します。2010年以降、すべての業種でWebサイトの離脱率が増加しており、現在は70%近くにのぼります。

サイトの導線が適切か見直すべきです。簡単な質問の答を見つけるために、どれぐらいの時間が必要か確認します。企業の基本情報についても、同様に試します。回答を見つけることが難しい場合、顧客も途中であきらめる可能性が高いと言えます。

コミュニケーションの一貫性確保

顧客は、同じ問い合わせを繰り返したくないと考えます。システムやオペレーターから、同じ情報の入力を求められるとストレスを感じます。ユーザーは対応に失望し、カスタマーエクスペリエンスが低下します。まず、オペレーターが、自動システムで取得したデータを必ず使用できるようにすべきです。

自動システムは多くのタスクで有用ですが、オペレーターに対する期待レベルは非常に高いことを忘れてはいけません。しかし、1人のオペレーターですべてのカスタマーサービス、すべての製品を網羅することは不可能です。機械学習で取得した顧客情報が、役に立つ場合があります。その知識を活用し、オペレーターは顧客に最適なサービスを迅速に提供することができます。

優れたボットは、複雑な対応時にオペレーターをサポートします。オペレーターの画面に、まず顧客の要望が表示され、過去データも合わせて表示されます。オペレーターはこれらの情報をもとに適切な対応を判断します。推奨事項、関連記事、参考情報などを確認することも可能です。

2. 顧客との複雑な会話に関与して管理

AIは、カスタマーエクスペリエンスの可能性を広げます。情報検索機能や自動IVRだけでなく、高度なパーソナライゼーションも可能にします。AIによるデータ活用がインテリジェントボットを進化させ、オペレーターに顧客の詳細な情報を提供します。購入プロセスで顧客が迷いやすいポイントを特定できるため、顧客が離脱する前にエンゲージすることができます。

現在のIVRが抱える課題

従来のIVRは、顧客に1つの選択肢しか提示できず、行える処理も1つだけでした。しかし、人の思考はそれほど単純ではなく、複数のタスクを同時に進める必要があります。

例えば、住所変更と新規の銀行口座開設を同時に依頼する場合などです。途中で既存アカウントにユーザーを追加する必要があることを思い出しました。通常のシステムでは、まず1つのタスクを完了した後、最初に戻り次のタスクを行います。そしてもう一度最初に戻り、残りのタスクを完了します。

ほとんどのオペレーターは、追加のリクエスト対応について研修を受けていません。担当外のタスクの場合、オペレーターには対応するためのツールも知識もありません。多くの場合、オペレーターはこのような場面で、追加リクエストの対応、記録、追跡を行いません。その結果、企業は貴重なインタラクションデータを逃すことになります。

音声ボットは、複数のリクエストを事前に特定し、IVR内で対応するか、必要に応じオペレーターに転送します。対話型IVRは、顧客の行動や対応履歴を把握し、パーソナライゼーションによりカスタマーエクスペリエンスを向上させます。お使いのIVRでも、自然言語理解(NLU)を使用することにより、この機能を実装できます。

Capgeminiの調査によると、76%の企業が音声とチャットアシスタントを導入した結果、業務が改善したと回答しています。具体的には、ネットプロモータースコア(NPS)が向上、顧客待機時間が5分以上短縮、初回解決率(FCR)が20%以上向上などです。

3. カスタマージャーニーをパーソナライズ

Googleは、自然言語理解(NLU)の活用により、対話型AIの分野をリードしてきました。このテクノロジーのおかげで、音声ボットによる会話が可能になったのです。NLU搭載ボットは、顧客のあらゆる反応に対応します。顧客に定型的な質問を要求することもありません。その結果、顧客一人ひとりに最適化した、高度なパーソナライゼーションを実現することができます。

自動発話認識(ASR)が可能な対話型IVRは、言葉を理解するだけではありません。顧客の意図を識別し、オペレーターによる適切な対応をアシストします。機械学習機能は、運用を重ねるごとに会話の豊かさが増していきます。学習を続けることにより、IVRとカスタマーエクスペリエンスも向上します。

ボットは、ユーザーの意図を特定し、セルフサービスを提案することもできます。さらにサポートが必要なユーザーに対しては、IVR内の標準ルートで対応するか、関連スキルをもつオペレーターにアサインすることができます。音声ボットは、顧客対応のプロセス全体を効率化します。

例えば、休暇前に海外での携帯使用料金を質問するために、携帯電話会社に電話したとします。こうしたケースでは、「海外に行きます」と言うだけで、音声ボットがどのような情報を提供すべきか理解します。

次に音声ボットから国際ローミングについて質問されます。「はい」と答えると、ボットはリクエストを処理し、料金を案内します。質問が複雑な場合は、オペレーターに引き継ぐことも可能です。ボットは、その他の製品やサービスを提示することもできます。このように、ボットは利益を生み出すリソースとなります。オペレーターによるサポートが必要なタイミングも理解します。

会話は滑らかでパーソナライズされていますが、いたってシンプルです。音声ボットは、IVR全体を変更することなく使用できます。

コールセンターへのAI導入

  • By 2022, 72% of interactions will involve chatbots.
  • ガートナーによると、企業におけるAI導入率は、2018年の4%から2019年には14%へと上昇。250%の増加を見せました。
  • オペレーターとAI搭載チャットボットの併用により、顧客満足度(CSAT)が61%向上しました。
  • AIに一部のタスクを任せると、オペレーターの生産性は66%向上します。

AI搭載ボットがカスタマーエクスペリエンスを最適化

ボットは、カスタマーエンゲージメントにおいて重要な役割を果たします。カスタマージャーニー全体で、会話の選択、優先付けを行います。ボットの利用は、最適な顧客エンゲージメント方法の選択に非常に有効です。顧客がよく使うチャネルや、オペレーターにつながるまでの待機時間も把握できます。

ボットでは回答できない質問の場合、ユーザーがオペレーターによる対応を希望した場合は、ボットは適切なオペレーターに顧客対応をエスカレーションします。アサインされたオペレーターには、会話履歴がすべて提供されます。

このようなカスタマーエクスペリエンス向上に、Genesys AIは最適なツールです。カスタマージャーニーの最適化に、ボットやオペレーターによる顧客対応のデータを活用することが可能です。オペレーターは対人サポートが必要な業務、顧客との関係構築に集中できます。結果として、すべての顧客一人ひとりに最適なサービスを提供することが可能になります。